忠太丸もかつての己の姿を思い出すと惨めさに死を思った。今なら舌を噛んで死ねる..。かつての家臣達や女衆の前で、せめての潔さを示して死のうかと思った。その時、忠太丸のへのこに薬を塗ってれた虎御前お付きの医師が後ろからそっと小声で言った。
「お早まりあるな..。虎御前様はお主の健気さにいたく心動かされておる..。あの家臣達や女衆も助かるかもしれぬぞ..。」
そうだった..。我は家臣達や女衆を助けるために生き恥を晒し惨めさを耐えておるのだった..。これから我と母上は多分虎長と虎御前から最後の過酷な責めを受け処刑されるのだろう。それを覚悟の筈であった..。
忠太丸は若々しい顔を上げ、胸を張って天守閣へと歩いて行った。
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