7日目
その日、ユキの部署は1日通して暗い雰囲気に包まれていた。
時刻は15時をまわる。あと3時間後には仕事が終わって帰宅出来る事もあり、普段ならみんな躍起になって業務に専念をしている時間帯だ。
しかし活気どころか、まるでお通夜のような社員達の表情があった。
ユキだけはニヤニヤと嬉しそうにしている。
太いクライアントからの受注に対して納付期間についての重大なミスが発覚したのだ。
今朝、クライアント側が見つけ、ユキ達の部署はその対応に追われて午前を過ごした。
太客という事もあり、損失は数億に登る可能性もあり、重く見た会社上層部らの聞き取りが行われた。
そして、どうやらこのミスの原因が、ユキの大嫌いな上司の上野であると上層部は見ているようだった。
午後一で上野が上層部に呼ばれてから現時刻まで音沙汰はなく、上野はまだ帰ってこない。
以前に同じようなミスがあった時に、責任を取らされた役職者は左遷され損失分の何パーセントかの減給。そして、その下にいた部下達にも減給処分となった事があった。
だからみんな気が気じゃないのだ。
上野が部署に帰ってきたのは16:00頃だった。
同席していた部長から説明があった。
まず、今回はギリギリ損失が無かった事。クライアント側のご好意もあり、不問とされた事。
ただ、やはり何らかの処分はあるだろうとの事。
みんな一旦の安堵はしたものの、それぞれが疲れた表情なのは変わらなかった。
上野は青白い顔で今にも泣きそうな声色でみんなに謝罪し、本来の業務に戻った。
そんなこんなでユキのいる部署は退勤時刻を過ぎても本来の仕事に追われ、残業を余儀なくされた。
実は1人だけ、、、ユキだけ必要最低限の仕事は終わっていたのだが、敢えて残っていた。
1人、また1人と仕事が終わり職場を後にする。
上野は帰り支度の社員1人1人に謝っていた。その光景を見ながらユキは残ったままだった。
そして、上野とユキだけが残った。
時計は21時をまわっていた。
ユキはそろそろか。と、帰る支度を始めた。
上野からしたら、1番謝りたくない憎い相手がユキだ。
普段であれば謝罪などプライドが許さないだろう。
しかし、上野は仕事一筋でバリバリのキャリアを自負していたが、それをズタズタにされる程の叱責を受け、同時に元々の強い責任感故に、プライドなどそっちのけで、ユキに謝罪した。
ユキは待ってましたとばかりに詰めた。
「本当に、、迷惑をかけてごめんなさい。」
「本当にそう思ってます?なんか言葉が軽いんですよねー。」
ユキは冷たい目と声で、薄ら笑いを浮かべて言い放った。上野はその言葉に胸が締め付けられたが、ぐっと堪えて再度謝った。
「ごめんなさい。」
「先輩、普段から仕事の細かな確認がー、、とか、色々くどくど言ってましたよねー?あれ?今回のミスは??チェックしてたのになんでですかねー??」
「ユキちゃんの言う通りだよ。。私が、、
「え?反省してるのにタメ語ですか??」
上野の言葉を遮ってユキが強い声色で言った。
「、、、ごめんなさい。
、、、ユキさんの言う通りです。私が怠慢でした。そのせいで皆様に迷惑かけてしまって。。。」
「言い直せばいいってもんじゃないですけどねー?てかさ、やっぱり反省してないでしょ?本当は悪いって思ってないくせに。」
「そう取られてもしょうがないです。普段から皆に厳しく言ってる私が」
「違くてさ!!、、わかんないの??これだからオバサンは。そんなんだからミスすんじゃないの??」
またもユキが遮って言った。今この場は上野とユキの立場が逆転し、完全にユキが支配していた。
「、、、どうしたら納得してくれますか?」
上野は申し訳ないという気持ちよりも、怒りの方が少しづつ強くなっていた。だが、怒りを押し殺す様にユキに聞いた。
ユキは舌打ちした。そして、
「チッ!頭、、、謝ってる割には頭が高くない?」
ユキの言葉に即座に理解した。
ユキは土下座をしろと迫っているのだ。その事に気づいた時、上野は怒りと悔しさで肩が震えた。
実は聞き取りでクライアント側の人がこちらに出向いてきた時に、上野は土下座しようとしたが、それはクライアント側に止められて土下座はしなかった。なのに、こんな小娘に土下座を?考えられなかった。
「はぁ、、、まあ上野先輩はプライドだけは高いから出来ないか。心狭いですもんね!そんなんだから結婚も出来ないんですよ笑」
上野は怒りが限界を超えて、言い返そうとユキを睨んだ。
ユキはニヤリと笑い、睨みつける上野に対して即座に答えた。
「あ、なんですか?やっぱり反省してないんですね笑
いいですよ、明日みんなに言っておきますから笑
上野先輩、全然悪びれる様子無かったよ?って笑」
上野は心の何かが切れた感覚がした。そして怒鳴って反撃してしまった。
「さっきから聞いてれば、、あなた何様のつもり!?謝ってるじゃない!!私だってアンタみたいなクソガキに謝りたくなんかないわよ!!今回はほんとに悪いと思ってるから謝ってんだよ!馬鹿なんじゃないの!!?」
ユキは大笑いした。
「何がおかしいの!?」
上野は食ってかかった。
「今の一連の会話、、録音してるんですけど笑」
上野はだからなんだと睨み返した。
「これ、私への悪口の部分だけ切り取ってー、皆や上層部に聞かせようかなぁ?ちょっと文句言ったらこんな事言われましたー。って」
上野は血の気が引いた。怒り任せな感情がスっと収まり、代わりに理性がぐっと戻ってきた。
やられた。。。ユキはこれが目的で煽ってきたのだと、上野は今更理解した。
ユキはこんなずる賢い性格を普段は隠しているし、男性を取り巻くのが上手い。
だから、上野の言葉とユキの言葉をどちらが信じられるかと言えば、間違いなくユキだろう。
「あれ?さっきの勢いはどうしたんですかー?」
ユキはヘラヘラしてバカにしたように言った。上野はなんと答えるのが正解なのか分からなかった。
だから代わりに、、、
「、、どうして欲しいの?」と聞いた。
「はぁ?さっきから言ってんじゃん。頭悪ー笑笑。土下座。早く頭を地面に擦りつけろよ?」
上野は血の気が引いているのに怒りが込み上げ、感情が混乱した。
混乱して、考えようにも色々な事を考えてしまい、考えがまとまらない。
「早く!!!」
ユキが怒鳴った、上野はビクッとして、ゆっくりと膝をつき土下座した。そして頭を床に着けた。
ユキは爆笑した。それが誰もいない部署の中に響いた。
そしてスマホで土下座している上野の写真を撮った。
ムービーモードにしてユキは言った。
「私のせいで申し訳ありませんでした。許してください。って言え。」
「、、、私のせいで、、申し訳ありませんでした。。。許してください。」
上野は絞り出すように言った。
ユキは靴を脱ぎ、生足で上野の頭を踏んだ。
足の感触を頭で感じた上野は、怒りを抑えるのにまた肩がプルプル震えた。
「んー、これ以上はさすがに先輩がかわいそー笑
しょーがないなあ。
私の足の指舐めてくださいよ?
そしたら反省してるんだなって認めますし、今日は許しますよ?」
ユキはニヤニヤしながら言った。上野は目の前に出されたユキの足を悔しそうにみつめた。
本来なら舐めない。絶対に。
それでも舐めた方がいいのかを迷った。
上野の心はそれほどまでに衰弱し、混乱していた。
そして、、
ペロ、、、、
ひと舐めした。
「私が良いよって言うまで舐めろ」
ユキは厳しい口調で言った。
上野は完全に心が折れ、考える事を辞めて言われるままにユキの足を舐めた。
1日デスクワークしていたユキの足は汗の匂いと味がした。
「ギャハハ笑。ほんとに舐めてるー!!笑。
きったねぇー!!笑笑。
ほら、もっと上手に綺麗に舐めろよ!!」
上野は自分自身が惨めになり、悔しく、自然に涙が溢れた。それでも舐め続けた。
そんな上野の痴態をユキは全てムービーに収めた。
そして足を一通り舐め終わり、土下座をしながら、声を噛み殺すようにグスングスンと泣いている上野の髪を掴み、顔を無理やり上げさせて耳元で囁いた。
「明日からも、、仕事よろしくお願いしますね?せ、ん、ぱ、い。」
ユキはそのまま部署を出た。
上野はユキが出たのを確認して、壁にもたれて泣きじゃくった。
あんなにも大嫌いで見下していた後輩のユキに対して、あんな仕打ちを受けた事ももちろんそうだが、、
上野の元々の性癖に引っかかり、心の片隅のどこかで興奮してしまい、虐められてアソコが熱くなり、濡れてしまった自分にも腹が立ってしまったのだった。
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