「吉良君、、話があるの」
いつも明るく元気のいい委員長にしては、控え目な声の掛け方に感じた。
里見菜穂、、うちのクラスの委員長で、副委員長の僕は色々と接点が多かった。
委員長は「完璧な女の子」、、だと言っていい。
性格は勿論、勉強も出来て運動も出来る、何せ女子バスケ部の部長を務めるほどだ。
そして何より「美人」だった。真面目が故に、言い寄られても、
「彼氏は、高校生になるまで作らない」
と言って断るらしい。
噂では、それはあくまで「断り口上」だとのことだが、、、
それを含めて、僕にはそんなに興味がなかった。
もう少し「しとやか」であれば、、、
とは思う。
僕同様に、
「里見は少し気が強過ぎるかな、、」
と言う声も少なからず、ではあった。
気が強い、、訳ではないのだが、、、「正義感」というか、いい意味ではあるが「お節介」と言うか、、
いずれにせよ、そんな委員長から立場上、色々と接点のある僕は、時に周囲から「嫉妬」の目を向けられる、、、
有難迷惑、、とまでは言わないが、、、
僕も男だし、可愛い女の子とおしゃべりする、、それが嬉しくない訳でもない。
しかし、委員長の「話」というのは、とんでもない内容だった。
「吉良君、、明後日の日曜日、空いてる?」
こんな時期の日曜日だなんて、、、
二学期を迎えた中学三年生が、日曜日に暇してる訳がない、、、
それは委員長も同じだと思うが、、、
「空いてる訳じゃないけど、、何?」
空いてはいない、という僕の言葉に遠慮したのか、なかなか続きの言を発しない委員長だったが、
「あの、、頼みがあって、、、」
本当に、らしくなく歯切れが悪い。
「言ってみてよ、、時間、作れない訳じゃないから」
とにかく話の内容と共に、いつもと違い過ぎる委員長の様子が気になった。
「一緒に来て欲しいとこがあるの」
何だ、そりゃ、、、?
僕も別に気短なほうではないのだが、回りくどい、らしからぬ言い回しに少し苛立った。
「どうしたのさ、、、委員長らしくないね。どこについて行けばいいの?」
僕の言及に、顔を下げ、益々暗くなる彼女だが、、
「あのさ吉良くん、、今から話すこと、、誰にも内緒にしてくれる?」
何だよ、唐突に、、、
と思いながらも、早く話を済ませたいし、それに「内緒に」、と頼まれたことを言いふらすことなどそもそもしない。
「いいよ、、内緒にするから」
望み通り秘密は守ると言ったのに、、なかなか話さなかったが、、
「、、、された」
口は開いたが、何を言ったのか聞き取れない。
「何、、されたって?」
「、、、襲われた」
最初、言葉の意味がわからなかった。
「襲われた、、って?」
「、、、強姦されたの」
強姦、、聞き慣れない言葉ではあるが、それって、、、
「強姦って、、、『婦女暴行』とか『レイプ』とか、、、」
「、、、うん」
あの委員長が、、泣き出した。
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