【92.潔】
「ああ、潔、、ちょうど今済んだぜっ」
里井の返答を受け、潔が部屋に戻ってきた。
吊るされた私を見て、
「お前ら、、やり過ぎだろ」
怪訝な表情を潔は浮かべていたようだが、誰とも目を合わせたくない私は、すぐ潔とも目を逸らした。
それより、、早く解いて欲しい、、、
それとも、潔もこのままの私を犯す気かしら、、、
「ほら、、時間ないし今度はお前らが出てけよっ」
すっかり目的を果たしたか、すんなりと四人は出て行く、、、
「須藤さん、、大丈夫です?」
ドアが閉まるとすぐさま、潔は手の拘束具を外してくれた。
ようやく膝をついて座り込む、、、
自由になった手で、反射的に胸を隠す、、、
潔には何度か見られてはいるが、、やはり恥ずかしい。
更に予想だにしなかったことに、、、
私のブラウスを潔は肩から掛けてくれる、、、
一瞬戸惑ったが、、、
どうせ犯されるときに、また剥ぎ取られる。
私は、
「早く済ませて、、亮太くんのお母さんが帰ってきたらまずいから」
今日も散々に凌辱された。
もう大抵のことでは驚きはしないだろう、、、
「時間ないなら、、もういいよ」
えっ、、、今なんて?
「明日とか言われても無理だよ、、、もう私、居なくなるんだから」
「そんなつもりないですよ、、須藤さん、、どこ行っちゃうんですか?」
「、、聞いてどうするのよ?」
「時間ないなら、、服着たら?」
意外な言葉を連発する潔に戸惑いながらも、確かに今は服を着たほうがと思い、、脱ぎ捨てられた下着を手に取る、、
「向こう、、向いててくれる?」
「何でです?、、もう裸見たし」
「嫌なの、、、着替え見られるのも恥ずかしいから」
潔は黙って反対のほうを向いてくれはしたが、、話は続いた。
「その代わり、、ひとつだけお願い聞いてよ」
やはり、、、そういうつもりか、、
「そんな、、ズルいよ。ここまできて何させる気?」
あとはブラウスのボタンを止めるだけ、という段階になっての潔の申し出に困惑するが、、、聞いて益々困惑した、
「これからは『響子さん』て呼んでいい?」
、、、これから?
「これからなんてないよ、、言ったでしょ、私は引っ越すのよ」
「なら、、いいだろ?『響子さん』で」
「、、、それだけ?それだけが大村くんの条件?」
「ああ、、、」
勿論、犯されることも触られることすらも望んではいないが、、、
「わかった」
「、、、じゃあ、、響子さん、、あいつらに済んだって言ってくるから」
潔が私を、「響子」と呼んだのは、その一回きりだった。
【第4章 完】
※元投稿はこちら >>