【62.再現】
「どこに、って、、、啓介っ」
私は弟の言うことに戸惑った。
「姉ちゃんは俺のものだったのにっ!」
遂に吐き出された本音に、弟は俯いて泣き始めた。
確かに覚えている、、、
私が男の子から愛を打ち明けられたのは他の誰でもない、、啓介が初めてだった。
もっとそれは私が小学5年生、啓介が3年生のときで、
「同級生の誰よりもお姉ちゃんのほうが好きだっ」
という啓介の言葉に、微笑ましくも、
「お姉ちゃんはダメなんだよ、、、他の女の子にしなさい」
と諭した記憶がある。
啓介は続ける。
「もちろんそんなことは解ってたさ。姉ちゃんが幸せになれる相手なら、って、、俺も思ってた。
それがこのザマだっ!
それだったら、、俺のモノにしとけばよかったっ」
背筋に悪寒が走った。
弟に、性の対象に見られていた「恐怖」と、何とも表現し難い違和感、、、
「そ、、そんなこと言われても、、啓介にも私より素敵な子が見つかるわよっ」
そんな当たり障りのない言葉で逃れようとしたが、
「転校先でか?、、俺は姉ちゃんのせいで学校を変わるんだ」
あくまでも許してくれない弟に、今度は私の涙が止まらなくなった。
「ごめんね啓介、、、どうしたらいい?どうしたらお姉ちゃんを許してくれるの?」
少し考えてから、啓介は、
「じゃあ姉ちゃんを、、気の済むようにさせろ」
何てことを、、、
とんでもないことを実の弟に言われた。
しかし今は、弟の気の済むようにしてあげたい、という「姉心」とでもいうのか、こんなときにそんなスイッチが働いてしまった。
内心、私らしいと思いつつも、最近の理不尽の連続で、何かしら「割り切れる道」を探そうという癖がついてしまっている、とも自覚した。
「、、わかった。どうしたらいい?」
観念した私に少し驚きつつも、弟は私がどんな目に遭ったのか、それを知りたいと言う。
「何って、、聞いたんじゃないの?私は犯されたのよ」
無論、それは弟も承知で、当夜の細かな様子を聞きたい、という。
「公園の手前あたりから私をつけてきてた3人組が、、公園の入り口に差し掛かったあたりで襲ってきて、、お姉ちゃんはそのまま捕まったの」
その時の服装は勿論制服で、啓介は今、私に制服姿になれと言い出した。
そこまでは、、と一度は拒みかけたが、この際弟の言う通りにしたげよう、と私は言われた通り制服に着替えた。
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