【60.弟」
私はしばらく部屋に閉じ籠る日が続いた。当然、勉強も手に付かず、やることもなくベッドに突っ伏していた。
急にドアが開いたので、そちらを見る、、弟だ。
スカート姿だった私は思わず裾を直す。
あまり、家の中でもだらしのない格好をするのが嫌で、、、
今日も私は黒のTシャツにスカートという服装で、ブラの型が透けたりするのは嫌だけど、暑いこともありキャミは着ていない。せめて透けないように濃色のシャツを選んだ。
外へ行くならもちろんこんな格好では出ないが、しばらくそんな予定もない。
スカートも、暑くなければもう少し長いものを履いていただろうが、、、座ったときに膝がぎりぎり見える程度の長さだ。
「、、どうしたの?啓介」
入ってきたものの、何も言おうとしない弟に、私から問いただす。
こうして言葉を交わすのもいつ以来だろう、、、
「、、姉ちゃんのせいだ」
明らかに撫然とした口調で、啓介は私に言い放った。
「私のせい?、、いったいどうしたの、、、」
「姉ちゃんのせいで俺は転校しなきゃいけなくなったっ」
私の言葉を遮り、弟は私に不満をぶちまけた。
しかしそれは、、、
何も言い返せないでいる私の横に詰め寄り、少し間を空けてベッドの上に座る弟、、、
「ご、ごめんなさい、でも事情があるの、、、啓介が知らない事情が、、、」
「知ってる」
えっ、、?
私は心臓が飛び出してしまうのではというほど、弟の言葉に驚いた。
知ってる、、、?
「、、どういうこと?知ってるって何を、、」
「レイプされたんだろ、姉ちゃん」
弟の口から放たれた「レイプ」というフレーズに、私は条件反射的に涙を溢していた。
或いは、、弟と兄には上手く話してくれていたのでは、と思っていたが、、、やはり父母から聞かされていたのか、、、
しかし、聞いてみるとどうやら違った。
弟が何ならスマホから取り出し、私に突きつける。
そこには、、
「須藤響子レイプ事件」
というスレッドがあり、、あの夜のことが書かれてある、、
「啓介、、これ、、なに?」
私は顔を青くして恐る恐る弟に尋ねるが、
「何って、、、読めよ。姉ちゃんがいちばんよく知ってんだろっ」
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