【29.よりによって、、】
「もしかして、、、須藤先輩?」
それは女の子の声だった。
しかも、聞き覚えのある、、、
すぐ傍まで迫っていた声に、私は仕方なく視線を向けた。
そこには声の主である女の子がひとり、それに男の子が二人いた。
「、、、公佳、ちゃん?」
東雲公佳、、
中学時代の、私の後輩だ。
そして、二人の男の子にも見覚えがある。
「ど、どうしたんですか、、、こんなとこで、、」
私の姿に驚いている様子だった。
それは、、そうだろう、
私も、知り合いがこんな姿で、こんなところに縛られていたら、、ビックリする。
「、あ、、あの、、、とにかく縄を解いてくれないかな?」
相手がかつての後輩ということもあって、努めて冷静を装い、とにかく縄を解いて欲しいと依頼した。
助かったかも、、知れない。
私は少し安堵した。
この男の子たちにブラは見られてしまったが、考えたら最小限の範囲かも、、と私は出来るだけ弱味は見せまいとポジティブに考えた。
私の要請に男の子たちが縄を解こうとしてくれたが、
「待って待って、、何があったんです、先輩、、?」
せっかく解いてくれようとしたのを公佳がストップをかける。
「話はあとで、、、まず解いてよっ」
苛々した私は、ついきつい口調になってしまったのだろう、、、
相手は中学のときのバスケ部の後輩、、未だに私のなかに残る「上下関係」の
意識が、公佳に対して横柄な態度になって現れていた。
次の瞬間、、公佳が黙り込む、、
そこでようやく私は思い出した。
そうだった、、、
この子にはよく思われてなかったんだ、、、
「先に事情、聴かせてくださいよっ、先輩、、、
普通じゃないでしょ、こんなの、、、
場合によったら人とか、、警察とか呼ばないと」
警察、、?
数分前に、私も同じ言葉を口にした。
私を犯した連中を警察に突き出してやるっ、と息巻いた。
しかし、そのあとの男の言葉が脳裏をよぎる、、
確かに、、されたことを母や、ましてや父に話せるのか、、、
警官に色々聴かれたりもするだろう、、
あんな惨めなことを、、人に話せるのか、、、
「ダメっ、、警察なんか呼ばないでっ!」
「わかりましたよっ、、じゃあせめてわけを話してくださいよ、、、
先輩、何があったんです?
須藤先輩がまさか彼氏とのプレイでこんなとこに縛られてるとか、、それはないと思うんで、、、
てか、、何されたんです?須藤さん?」
、、、よりによって私は、とんでもない人物に見つかってしまった。
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