【101.向き合うこと】
「泣かないで、、、いいじゃないか、僕らは知らない者同士だ。だから君が恥ずかしがることも泣くこともないんだよ」
泣きたくて泣いているんじゃないけど、、、
でも、ケイスケさんの優しい言葉で涙は止まった。
「ありがとうございます、、恥ずかしいんですが、それを、、誰か男性に聞いてみたくて今日は来ました」
「君は高校生なのに、、受け応えもとてもしっかりしてるね、、、、」
久しぶりだな、、人から褒められるって、、、
そもそも今回のことは私は被害者で、
「何故私のほうが責められるの?」
その思いが、私を支配していたのだと思う、、、
そこから小一時間、私は聞かれたこと、そうでないこと含め延々と、ケイスケさんに告白した。
ケイスケさんは嫌な顔ひとつせず、全て聞いてくれた。
一頻り、話し終えた私に、ケイスケさんは、
「なるほど、、ありがとう。少しキョウコちゃんのことがわかったかも、、、
じゃあ、、思ってる通りを言ったほうがいいかな?」
私は、ケイスケさんの言葉に心臓の高鳴りを覚えた。
「、、何だか怖いけど、、でも私はそれを聞きに来ましたから」
「うん、、どうやら君はレイ、、されたことそのものよりも、それによっていかに自分が『堕ちた』か、、それをとても気にしているみたいだね」
「堕ちた」、、、
今の私にはグサリとする言葉だった。
私は何も言えずにいた。
「ごめん、、大丈夫?」
「あ、、いえ、すいません、、、平気じゃないけど、聞かせて欲しいと言ったのは私ですから。
続けていただけますか?」
無理に作った笑顔から、、次の瞬間、大粒の涙がテーブルに落ちた。
「泣かれると辛いけど、、そう望むなら」
と、ケイスケさんは前置きし、
「キョウコちゃんがレイプされた事実は、どうやったって消えないよ、、、
なら向き合うしかない、と思うよ」
「『向き合う』、、ですか、、でもどうやって、、どうしたら、、、」
「ごめん、、それは僕にも今は解らない、、、少し時間がかかるかも、、、」
「、、、それって、、私にまた会いたい、って言ってくれてますか?」
「あ、、いや、、うん。会いたいな」
たったの一時間ほどで、ケイスケさんとは仲良くなれたように思えた。
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