文香から遅れること5分、、私たちも店内に向かった。
と言っても、一度表に出、大回りする文香に、店内を直行する私たちはすぐに追いついた。
文香も、ようやく腰を下ろす席を決め、仁志にドリンクのオーダーをしている。
続いて仁志は、私たちのブースへ来て、
「お疲れ様です、、橘さん、お久しぶりです」
「仁志、、元気そうだな。今日はよろしくね」
そんな挨拶を交わしている間に、もう文香に接触する男がいた。
「こんばんは、、お一人ですか?」
歳は40代かな、、、夫や真壁さんとだいたい同じに見える。
「、、は、はい」
「ここ、初めてですか?」
「え、ええ、、まぁ」
ここまで文香の心臓の鼓動が聞こえてくるかのように、彼女の緊張が伝わる、、、無理もない、
「よかったら一杯ご馳走したい」
「え、、あ、、そんな、、、いいんですか?」
最初、遠慮しかけたが、まずは飲み物を奢ることから男性はきっかけを作ろうとしてくる、、それを思い出した文香は、男性の好意を受け入れた。
「あ、ありがとうございます」
「ヒロキと言います、、お若そうだけど失礼ですがおいくつ?」
「、、二十歳です、、あ、、明日香と言います」
歳については、真壁は19歳デビューをさせたかったようだが、、つい先日誕生日を迎えたらしい。
そしていわゆる「源氏名」だが、これも真壁がかつての私のものを、
「明日香ちゃんの再来を期待して」
と、大層な願を掛けつけたそうだ。
そして、10分と経たずにそのヒロキという男性は、文香の肩を抱きはじめた。
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