「お疲れ様です」
私たち夫婦は事務所に先ずは顔を出した。
「旦那、、麻由ちゃん、ご苦労様」
主人と真壁さんは久しぶりに顔を合わせる。真壁さんは東京とここの往復、夫も今や4店舗のオーナーでそれなりに多忙だ。
「文ちゃんは?未だですか?」
「着替えをしているよ」
という真壁の返答と同時に更衣室の扉が開いた。
「あ、麻由さん、こんばんは」
いつもの文香のコーデよりややセクシーな感じがする。
ノー・スリーブのニットにミニ、、化粧も少し濃めだ。
「文ちゃん、よく似合ってるね、、あ、主人です」
初対面となる夫を文香に紹介する、
「は、はじめまして、、澤井です」
「はじめまして、橘です。お話はオーナーと麻由から聞いてるよ。よろしくね」
気のせいか、真壁さんのときよりも文香には緊張した様子がない。「慣れ」なのか、或いは主人の持つ、何だか女の子を「安心」させるような「父性」とでも言おうか、、、
「じゃあ文ちゃん、、準備がいいなら、、、
一度出て、表口から『お客』として入ってきてね。いわゆる『単独客』としてね」
こういった店では、「単独女性」は大歓迎される。
「入ったら、ブース席でない席にどこでもいいから掛けて。そこで声を掛けられるまで待ってもらうから」
不安そうな表情を浮かべる。
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