私たちにとって慌しい三週間だった。
買収金は「前払い」とした。当然のことだ。入金と同時に店の「売却譲渡」の旨を告知する約束だった。
それと同時に私たち夫婦は、新店舗の候補地巡りに奔走した。出来れば短い期間で新店舗の営業を始めたい。
候補地は、現在地と故郷の二ヶ所を除く国内、と言っても実家のある故郷からあまり遠隔でも何かと不便だ。
商売柄、あまり人口の少ない街では辛い。そうなると選択肢は限られている。限られているだけに何とか短期間で見つかった。
移転準備、引越しの手配と忙しかったが、全て売却資金で事足りた。
「せっかくこの街にも慣れてきたところだったのにね」
夫は聞いてない様子だった。
「そんなに心配?」
この言葉は聞いていたようだ。
「当たり前だ。実際は麻由のおかげで大きなチャンスには恵まれたけど、、複雑だよ」
そう言う夫の表情は、言の通り複雑そうだった。
「いよいよ明日ね」
明日、、契約通り私は複数の男に抱かれる。夫の見てる前で。
確かに普通の女性なら耐え切れない屈辱なのだろう。
私とて全く平気という訳ではないが、、、
その催しの一時間前に、主催者の大沢と会うとこになっていた。
今回のことを全て書面で契約を交わすためだ。
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