「お久しぶりです、オーナー」
話し合いのあと、新たに自分の店となる旧大沢の店舗の視察がてら、取り戻した私の店に真壁オーナーが顔を見せた。
「更に綺麗になったね、麻由ちゃん、、、それにこの子が娘さんかい?」
私の抱く子に向ける目は、普段のそれと違いとても優しい。
「明日菜です。そう、俊樹さんと私の娘よ」
この店は営業再開に向けた準備をしている。幸いバイトの子たち全員が戻ってきてくれることになり、新店舗と往来することになる主人に代わり、そのバイトの中の男の子を店長としてここは再スタートする。
そして元大沢の店は、、、真壁オーナーと「共同経営」のような形で「ハプニング・バー」として生まれ変わる。
「元々大沢が違法めいた、いかがわしい経営をしてたんだ。それならいっそそういう店として営業したほうがいいだろう」
これが夫のアイデアだった。
「オーナー、、よく引き受けてくださったわね」
「そりゃこんなおいしい条件なら誰も断らないよ麻由ちゃん、、、旦那は太っ腹だ」
夫は店の権利の51真壁オーナーに譲ったという。
難しいことまでは私には判らないが。
そして、当の大沢については、、、
話し合いの末、大沢本人を一族経営から永久追放することで、地元にある本社撤退の話を無しにする、という条件で合意した。
「で、、大沢はどうなったの?」
その私の質問に、真壁オーナーが珍しく言葉を詰まらせる、
「それなんだが、、麻由ちゃん」
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