あれからさらに一年、、、去年出産した娘も早や一歳の誕生日を間近に迎え、そろそろじっとしてくれていない時期なので目が離せない。
夫の俊樹はろくに休みも無しに店に篭りっきりで、娘を抱く暇すらもない。
2か月前までは繁盛のあまり、、であったがすっかり状況は変わった。
同じ商圏内に同業のバーが出来てからだ。
私が出産を控え店に出なくなってから一年半ほど。私の人気で繁盛してたとは思っていない。
主人は元々やり手で、スタッフの育成にも力を入れている。私が産休に入ったあともスタッフのおかげで安心だった。
あの店が出来るまでは。
その店がうちと異なる点は、あからさまに「女の子」で客を釣ろうとしている点だ。過去の私が言えたことではないが、その店のしていること、店員の女の子にさせていることは違法ギリギリ、と言える。
主人は、もちろんそんな真似をするつもりなどない。
「そんなことするくらいなら潔く店をたたんで故郷に帰ろう。また新しく店を構え直そう」
なんて言う。
「せっかく資金回収出来たばかりなのにね」
私はすっかり主婦らしい発想になっていた。
「うん、、明日菜のための貯金もしたいんだが」
最近は、暗い話題が多くなっていた。
そんなある夜、主人が帰るなり、
「麻由、、、大事な話だ」
改まって主人が帰るなり切り出し始める。興奮のあまり明日菜を起こし兼ねないくらい、、、
聞けば、「買収」の話が来たらしい。しかも例の店の主かららしい。
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