二人は必死になって浴槽を洗剤で擦って洗い清め、次に自分達の身体もシャンプー、ボディソープを使って洗った。
しかし全裸で作業させられていたから、時計が無く時間が分からない。
髪の毛に着いた便を落とすのに気をとられてたら、もう治人がドアを開けた。
彩夏が真っ青な顔をして立ちすくんだ。
「先生..、あの..、あの..」
何とか言い訳をしようとする娘の肩に手を乗せ、由利子は顔を横に振った。
ご主人様に、言い訳なんか通用しない。
言われたら、ただ黙って拷問されるだけなの。
無言のまま、娘にそう伝えたのだった。
治人の点検が始まった。
頑張ったつもりだが、やはり浴槽の縁に僅かに便が張り付いていたのを、治人から見つけられた。
「舐めろ!」
治人の声に、彩夏が身体をガタガタと震わせながら、そっと膝まづいて浴槽の縁に顔を近づけようとした。
「待って。お母さんが..」
由利子は彩夏を止めて、自分が先に膝まづく。顔を近づけると、便独特の臭いが鼻を突いた。
さっき便の浮いた冷水に浸かっていた時は、鼻も麻痺していたが、シャンプーやリンスなど人並みの香りを使い身体を洗った後では、再びそれに身体に触れることは人間の本能として避けたかった。
しかし、自分は母親として、少しでも娘を庇ってあげなければ..。
由利子は目を閉じて、舌で浴槽に着いている便を舐めとった。
口の中に不快な臭いと苦味が広がる。
思いきって飲み下そうとするのだが、本能がそれを拒んでしまう。
その時、また治人が命令した。
「まだ飲み込むな。
彩夏、由利子とディープキスをしろ。」
そんな..。
せっかく彩夏を守ろうとしたのに..。
立ち尽くす由利子だったが、彩夏はそんな母の前に立つと、
「お母さん、先生のご命令なの..。
私にキスして..。」
と言うと、唇を近づけた。
由利子も目を閉じた。
彩夏の柔らかい唇が当たる。
ああ、これが..、普通のキスなら、可愛い我が子とのキスはどんなに素敵だったことか..。
由利子はそれを命じた治人を恨むのではなく、そんな治人に身も心も明け渡してしまった、自分自身を恨んだ。
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