私たち夫婦は驚くほど隠し事がない。
いや、実のところは私のほうにはある。
隠し事というより、言わないほうがよいことまで麻由に話すことはない。聞かれて、答えないほうがと判断すれば嘘をつくこともある。
あくまで麻由のために。
しかし、、
麻由のほうは恐らくそうではない。
私に対し彼女は隠し事をしない。
それはまるで、ありのままをぶつけることで私の気持ちを試しているかのように。
「正直、大学生の子たちにレイプされたときに、、何か壊れちゃったな、って思ってる」
あの事件から未だ2年と経ってはいない。
無理からぬことだが、、
「話して大丈夫?あなたにはショックかも」
試されてる、、、それ以前に大抵のことに動じなくなった自分がいた。
麻由は本音を口にした。
「はっきり言って感じないなんてことはないよ。
それはどんなときでも、、ね。
ただ快感か不快かは相手とか状況によるだけで」
この二年で、初めて麻由が「感じた」と認めた。
「俊樹さんから見て私は『強い』と見えるのかもだけど、そんなことはないと思う。
だけど俊樹さんは、、私が他の男に抱かれてるのを見ると、、興奮するんでしょ?」
私はあまりにも核心の質問に一瞬戸惑うが、、、
もはや麻由は愛する妻だ。
「うん、、麻由には悪いけど興奮してた」
私は正直にそう答えた。
「ううん、仕方ないよ。そりゃ男の人の気持ちがわかるとは言えないけど、、、
でも、俊樹さんが興奮してくれてる、喜んでくれてる、と思ったから我慢できた、というのはあるから」
もはや麻由との絆に何ら疑うものはなかった。
「なぁ、麻由、、、頼んでみたいことがあるんだ」
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