優湖は桃香と共に、夫の所に送り届けられた。
玄関を出てきた夫は、顔が若干赤く腫れてた様な気もした。
3人のチームは、夫に受け取りの署名を貰うと、バカ丁寧な挨拶をして去って行った。
「茉莉香は、もう帰らない。
法的にも精神的にも、完全に手放せ、と嚇かされた。」
怯えた夫に優湖も、
「私も恐ろしかった..。
もし茉莉香が守ってくれなかったら..。」
と呟いたが、その茉莉香を手に入れたのは誰か?と言うことは、今は検索しない方が身のためだと分かっていた。
茉莉香は牧田の家で、オムライスの王子様から抱き抱えられて、車に乗せられた。
「滅多に経験できない面白い思いもしましたが、この娘を最後にどうするか本当に困っていました。
おまけに、最初は飼うつもりもなかった継母に妹まで付いて来たし。
脅かすつもりで、死刑台まで作ったのに、泣きもしない。
このままだと、本当に最後まで行っちゃいそうで..。
2時間前にお引き受けの打診があった時は、正直ホッとしましたよ。」
牧田は葛城真に対して、本心も交えて愛想笑いをすると、最後に茉莉香に、
「今度はこの王子様に、泣きわめかせてもらえ。」
と言って、二人の乗った車を見送った。
茉莉香が取り敢えず入院させられたのは、あの肛門科の病院。
「ここ、他に入院患者いないから。
いくらでも泣いて良いよ。
早く身体を治して、一緒にオムライス食べれるようになったら、今度は僕一人だけが君を虐めてあげる。
いっぱい泣かすよ!」
その言葉を聞いた時にはもう、茉莉香は小さな子供のように大声で泣いていた。
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