深夜2時、茉莉香は庭の木に縛られたまま、完全に気を失っていた。
前日の朝に、鍋に残ったわずかの味噌汁のを飲んだだけの上に、連日の睡眠不足、労働や性的虐待による体力の低下で、低体温症で生命が危うくなる直前だった。
分厚い防寒着に身を包んだ継母と実父が、気を失っている茉莉香を、家の中に担ぎこんだ。
冷たい頬を数回平手打ちするが、茉莉香は意識を取り戻さない。
歯を硬く食い縛っていて、お湯も飲めない状態だった。
実父が、ブランデーを水で割った液体を、アナルから50cc注入する。
やがて腸内の粘膜から直接吸収されたアルコールが、内側から茉莉香の身体を温め、茉莉香は命を無くさずにすんだ。
気がついた茉莉香は、大型犬用のゲージに押し込まれた。
「夜中にゆっくり眠っていた時に悪いけど、貴女を売ることに決まったわ。
明日の朝、引き取りに来てくれるから、それまでこの中で大人しくしててね。」
やはり売られるんだ。
そのくらいだったら、あのまま眠ったままで逝ってしまえば良かった..。
継母は、勝ち誇ったように続けた。
「外国じゃないわよ。
西日本の方の変態な金持ちだから。
でも、噂だけど、その人に買われた女の子、この1年でもう3人も帰ってこないそうよ。
まあ、貴女はそこらのお嬢さんと違って、根性があるから、頑張ってもう少し生きていけるかもね。」
「桃香のことは、心配しないで。
あの千鶴に似た貴女には、憎しみしか感じないけど、何故か桃香は本当に可愛いの。
大切に育てるわ。」
そう言うと、優湖は部屋の灯りを消して、出ていこうとしたが、はっと立ち止まった。
夜中だから、ぐっすり眠っている筈の桃香が、ドアの所に立っていた。
「桃香ちゃん、聞いちゃったのね。
でも、仕方ないのよ。
悪いお姉ちゃんは、この家から居なくなるの。
良いわね!」
優湖がそう言うと、桃香は泣きもせずに、こくんと頷いた。
そして継母に、
「でも、お姉ちゃん、きっと喉が渇いてるよ。私が水を一杯だけあげていい?」
初めの頃、姉が虐待されてるのを見て、自分の方が泣いていた桃香だったが、この時は素直にそれだけ継母にお願いした。
優湖はそれを許し、茉莉香の口から、自分のショーツと経血を吸ったタンポンを抜き取った。
ショーツのクロッチに着いた血液も、タンポンの血液も、もう茉莉香が口の中で吸って、ほとんど赤い色は残ってなかった。
桃香がコップ一杯の水を持ってきて、ゲージの中で、しかも後ろ手に手錠を掛けられてる姉の口元に差し出した。
「お姉ちゃん、お水。」
茉莉香は、桃香の差し出したコップの水を一気に飲んでしまうと、妹の目をじっと見て
「お母さんに可愛がってもらうのよ。」
と言うと、妹から目を背けた。
そして優湖から、口に別の布を押し込まれた。
優湖はゲージの戸を閉め、外からしか開けられない閂を掛け、上からゴム引きの厚いシートが掛けられた。
翌朝、茉莉香を引き取りに来る業者が、予定どおり到着した。
「大型の生き物ですね。中は見るなって事を言われてますが、途中トラブルがあった時は?」
と業者から聞かれ、優湖は
「トラブルの時も、開けたりしないで。
もし死んでたら、それはそれで仕方ないんだから。」
とだけ答え、厚いシートで覆われたゲージが、コンテナに積み込まれるのを見届けた。
もちろん、この業者も、裏の仕事をする人達だし、たとえ中が生きた少女でも、それは自分には関係ないことだった。
葛城真は、母方の祖父と話していた。
「その子を助けたいって言うのと、ちょっと違うんだ。
僕だけのものにしたい。
僕だけのために恥ずかしがらせて、僕だけが虐めてあげたい。
そんな感じかな。」
「お前、本当に父親とわしの悪い所が似たな..」
真の父親は、26歳の時に、当時15歳だった真の母親に一目惚れし、毎日の様に家に押し掛けて、母の父親、つまり真が話してる祖父と数十回の口論から殴り合い、頭から水を掛けられてる等されても諦めず、母が高校を卒業すると直ぐに結婚しているロリコンだった。
祖父の方は、妻、もう亡くなっているが、真の祖母は、当時まだ少ないSMのモデルだった。
こちらも、写真を一目見て好意をもった祖父が、当時まだ未成年だった祖母を、食い物にしていた連中から力ずくで奪い取った感じだった。
祖父は、幼くして両親を失った孫が可愛かったが、過保護にはしなかった。
成人した真は、周囲の目を引くほどの魅力と魅力を持っているが、祖父の目から見て、やはり普通の若者とはちょっと違っていた。
特に、これまで、女性が好きだ、と言う恋愛感情を持ったことが無いらしい。
それが今になって、
「虐待されて、身体を変態に売られてる13歳の女の子を、自分のものにしたい!」
と相談に来たのだ。
祖父としては、苦笑するしかなかった。
しかし、
「一晩の売春ではなく、養子縁組の形の人身売買で、遠方に売られる可能性がある。」
との情報が正しければ、たしかに急がれねばならないだろう。
もしその子の両親が、姉妹二人とも虐待してるのなら、お上を介入させ、両親は児童虐待で逮捕、姉妹は児童相談所で保護、で簡単である。
しかし真は、
妹は両親になついているのなら、それはそのままにしておきたい。
茉莉香だけ、家族から引き離して、自分のものにしたい。
と言う虫の良い願いだった。
※元投稿はこちら >>