白石から凌辱を受けた日から五日が経った。
あれから白石からの連絡は
ない。
ただ、安心はできない。
綾乃が女の弱さをさらけ出した以上、あれで済むとは思えない。
乳房の張りや性器の疼きは丸二日間おさまることはなかった。
授業にも集中できず、何度も
同じミスをして生徒を呆れさせていた。
洞察力の鋭い女子生徒から
、綾乃先生お尻を振って歩いているというドキリとさせられる指摘も受けた。
平静を取り戻したい。
だが、白石大輝のイジメの解明も進まないまま、時だけが過ぎていた。
「藤村先生ちょっと……」
午後の授業が終わり職員室に戻った綾乃に荒木が声をかけた。
「実は先ほど白石大輝の父親から
連絡がありまして、新しい事実が
わかったので、わたしと藤村先生に来ていただきたいと言うんです」
「新事実?」白石からの連絡と
聞いて胸に不安に広がったが行かないわけにはいかない。
自分は教師なのだ。
五日前に奪われた教育者としての
プライドと使命感が蘇る。
「わかりました。教頭先生も
ご足労だとは思いますがよろしくお願いします」
綾乃は深々と頭を下げた。
ダイニングで白石と再び向き合った綾乃を荒木が制して、口を
開いた。
「息子さんの具合はお電話でお聞きしましたが、一刻も早く、よくなられることを職員一同願っています。それで、新しい事実とは?」
白石は綾乃を一瞥すると切り出した。
「枕のことです」
「枕?……」
荒木がおうむ返しのように聞き返す。
「目の前の藤村先生がイジメが記されたノートと引き換えに、体の
関係を私に迫ってきたのです」
綾乃は頭を後ろからハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
「教頭先生、違います!わたしはこの人に強姦されました。脅されたのはわたしの方です!」
綾乃は拳を握りしめたまま立ち上がった。
女教師の唇はわなないている。
「藤村先生、座りなさい。
冷静になって話そう。
それに枕だの、強姦だの穏やかじゃない。
まず、そのノートを見せてください……」
荒木は年輩者らしく落ち着き払っている。
ノートが白石の手によって開示され、複数の質問が荒木から二人にとんだ。
「わかりました。筆跡鑑定をするまでもなく、これは本人のモノなんですね……うーん。しかし……。
教師と父兄が関係を持つことは
許されることではありません。
それにお互いの意見が全く食い違う。自分の真実を証明できる何かを出して貰わないと……」
荒木は綾乃と白石に交互に視線を送る。
綾乃は窮した。綾乃にはそれを証明することはできない。
悔しさに唇を噛んだ。
「ありますよ、俺は」
白石の言葉が突然、静寂を破った。
白石がズボンのポケットから
取り出したのは小型のボイスレコーダーだった。
白石は荒木の前に置いて、再生スイッチを入れた。
ノイズと共に聴こえてくる男女の
睦声。
確かに男は白石、女は綾乃だった。
白石が音量を上げた。
綾乃は顔面を蒼白にして、テーブルのボイスレコーダーに飛びついた。
だが、綾乃の動きを察していたのか白石は間一髪でかわしていた。
さらに音量がMAXに上がった。
『あっ、イク……白石さん……イクッ……白石さん……好きですうぅ……イクううッ……』
綾乃が甘え、絶頂を叫ぶ声が
部屋に反響した。
綾乃は我を忘れ喚きながら両手を振り回しテーブル越しに、白石に跳び掛かろうとする。
「綾乃ッ!!」
綾乃の時間は完全に停止した。
その怒声は白石のものではなかった。
その声の主の方を綾乃は恐る恐る
振り返った。
「綾乃先生、自分の性の奔放さを
人のせいにしてはいけませんよ」
好色に顔を輝かせる荒木の言葉が
綾乃の胸を抉った。
「セックスは悪いことではありません。ただ、避妊はちゃんとしないとね。子供達への性教育では
そう教えてるではありませんか」
綾乃は愕然とした。
ゴム無しのセックスは、綾乃と白石しか知らないことだ。
「教頭先生……あなたは……」
目を見開き、女教師は呻いた。
「教頭先生、これから二人で
綾乃先生の性の再教育といきましょうよ。実技つきで」
白石は含み笑いしながら言った。
「時間はたっぷりあるしね。
甘かったね。綾乃先生……」
教頭は上着を脱ぎながら、
女教師の肩を叩いた。
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