得体のしれない体の震えが止まらない。
もし、そんなことになったら。
イジメの事実、そしてこのノートがある限り、綾乃の対応の真実に関わらず大変なことになる。
教育委員会はともかく、マスコミの餌食になるだろう。
特にテレビや○春砲と呼ばれる
週刊誌の追求は過酷を極める筈だ。
綾乃は無論、学校に至るまでその信用は地に墜ちてしまう。
「もう一度、大輝君に会わせてください!」
綾乃の申し出に白石は。
「当分、大輝には医師の指示もあり、誰も会わせることは出来ません」
「そんな………それじゃあ……」
綾乃は絶句した。
「残念です……本当に……こんなことになって……藤村先生もせっかく教師になられたのに……」
白石は含みを持たす言い方をして
綾乃を見据えた。
「まあ、大輝もショックは受けてはいるものの、身体に異常はないので、先生の誠意次第ではわたしも考えないこともないですよ」
綾乃をジッと見据える白石の口元にはいつの間にか酷薄な笑みが
浮かんでいた。
「それはどういうことでしょうか?」
綾乃は瞬時に嫌な予感が胸に去来したものの、聞き返さずにはいられない。
「藤村先生もご存知だとは思いますが、わたしは妻と離婚して寂しい中年の独り身です。家事などは慣れましたが、不自由してることは夜の営みです。
わたしは先生を最初見た時から
惚れてしまいましてね。
どうしても欲しいんです。
妻になってくれとは言いません。
一度か二度、抱かせてもらいたいんです」
綾乃は白石の言ったことが瞬時には呑みこめなかった。
はっと我に返ると。
「そんなこと、できるわけないでしょう!何を言ってるんですか!」
動揺に怒気を孕んだ言葉が
綾乃の口から飛び出した。
「無理ですか……残念です」
白石はさらりと言った。
「わたしは悪くありません。
ノートも真実ではないし、
わたしの責任じゃない!
それにあなたの言ってることは良識ある大人のすることじゃなく
卑劣です!」怒りのままに綾乃は身を乗り出して憤った。
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