その日は家庭教師の日ではなかったが、時生にLINEで明日のことを連絡すると思わぬ情報が得られた。
香織が大学時代の友人と会うために帰宅が遅くなるというのだ。
時計を見ると午後の九時を回っている。
わたしはあれこれ理由をつけて、
今から行くことを時生に告げた。
コンビニでシュークリームを買い
正木家に上がり込む。
時生は最初は少し腑に落ちない表情だったが、シュークリームの
袋を差し出すと頬が弛んだ。
二人でオンラインゲームに興じる。
叔母がやっと帰宅したのは深夜近くになってからだ。
俺と時生の前に姿を見せると
俺に来てたんだと声を掛け、上着を壁に吊るす。
「疲れたわ……佑子ったらよく喋るの、旦那と子供のことばかり……聞く方の身にもなってよね……」
しかしうんざりしたように言う、叔母の顔には疲れの色は全く見えなかった。
顔色はよく肌はみずみずしい。
「翔太君……泊まっていくならソファーベッドをどうぞ。毛布はそこの中に。時生、お母さんはシャワー浴びたらすぐに寝るからね」
そう言うと香織は夫婦の部屋に
姿を消した。
深夜一時も過ぎた頃、俺は
浴室の隣にある洗濯機の中を
覗き込む。
今治のバスタオルの下に目指すものはあった。
黒のお洒落なショーツ。
おそらくセット物であろうが、ブラは手洗いするつもりなのか見あたらない。
俺は手に取った叔母のショーツを
クルリも裏返す。
思わず頬が弛んだ。
クロッチに広がる濃厚な染み。
セックスの証。
(やってきたな……)
俺は興奮に高ぶりながら、鼻を近づけていく。
熟した女の甘く濃厚な匂いが
鼻腔を撫でた。
瞬時にパンツの中のぺニスが
いきり立つ。
(うん?……これは……)
微かに匂う自分と同じ雄の
欲望の匂い。
(生かよ、もしかして?……)
胸が激しく波打つ。
証拠を掴んだ俺はスマホに
そのショーツの船底部の欲情の
証をしっかりと記憶させた。
(もう、起きてこんだろ………)
ショーツを手にして隣の浴室に移動する。
俺は二人が寝静まった空間で叔母のショーツの匂いを嗅ぎながら硬く直立したぺニス扱きたてた。
正木香織はホテルのロビーで
康介を待っていた。
これで二人だけで会うのは六度目だ。
高校の同級生だった細江康介と
四年に一度のクラス会で再会したのは半年前。
香織と康介は高校時代はさほど仲がよいわけでわなく、もちろん恋人同士でもなかった。
それが酒の入った場所での告白。
「俺は香織のこと最初見た時から好きだった」
驚きもしたが女として悪い気持ちはしない。
彼は当時からサッカー部で異性の気を引く存在でもあったからだ。
一度、離婚を経験していた康介は
連絡先を交換するとアグレッシブだった。
(秀人には悪いけど……わたしもまだ
女でいたい……)
単身赴任先からたまに帰宅しても
夫婦に夜の営みはない。
香織の方から誘っても勃起不全の
秀人は応じない。
過去の何度かの失敗でプライドが傷ついているのか「疲れてるんだ……勘弁してくれ」と向こうを向いて寝てしまうのだ。
女盛りの体は疼きを伴い、精神
は苛立った。
香織と康介が男女の関係になったのは三度目の逢瀬の時。
康介のベッドテクニックは期待したよりは良くはなかった。
秀人と大同小異。
しかし男に抱かれる精神的満足感
は渇望していたこともあり砂漠の
ような香織の心に染みた。
「ごめん、待ったか!」
笑顔で康介が白い歯を見せて駆け寄ってきた。
香織も反射的に立ち上がり、笑顔で首を横に振る。
「さあ……すぐに行こう……」
二人は辺りに注意を払いながらエレベーターの方に歩き出す。
そんな二人の姿を物陰からコンデジを構えて追うひとりの大学生の姿があった。
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