酔いすぎないように・・・
今夜は意識を失わないように・・・
そんな事を考えながらジャッキに口を運んだ。
しかし時間が経つにつれ、興奮が高まっていった。
興奮を抑えようとするたびに、飲んでしまった。
時計の針が12時を指すのを見てからは、そのペースが速くなった。
誰かが帰ろうと席を立つのを見てはグラスを空けていた。
最後に残った5~6人で店を出た。
駅前でタクシーを探そうとするヤツらと別れ、3人で麻衣子の家に向かって歩き出した。
歩き出してからは、自分がいつもより酔ってしまっていると、グニャグニャと歪む視界に思っていた。
フラフラとした足取りで、何度も麻衣子に心配されながら歩いた。
ようやく家に到着した時には、すでにヘロヘロになっていた。
だから部屋の中に入ると、いつもの席で いきなり寝転がった。
「もうダメだ~・・・今日は、スゲー酔っ払った・・・」
わざとらしくならないように、今日のために何度も練習した言葉だったが、そんな心配など全く必要なかったと思うほど、本当にダメな声が喉から出ていった。
「大丈夫?」
心配そうに言った麻衣子が、佐藤の隣に腰掛けるのを、薄く開いた目で見ていた。
地球の自転を感じながら寝転がり、時間が経つのをじっと待っていた。
5分・・・10分・・・
その日の俺はいつもより確実に酔っていたが、けれど意識は落ちる事なくその瞬間を待ち続けていた。
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