昼になってようやく起き出し、学校に向かった。
本館への道を歩いていると、ガラス張りの学生センターの中に麻衣子の姿を見つけた。
おそらく外を歩く学生の中に俺を探していたのだろう麻衣子は、すぐに立ち上がって手を振っていた。
いつからか、サークルのメンバーの一部にとっての集合場所になっている場所。
そのテーブルを囲む数人の中に佐藤祥太がいるのを見た俺は、とっさに顔を伏せて歩き去ろうとした。
それを見た麻衣子は、隣に座る男を押し除け 走ってきた。
だいぶん遠回りな距離を走った麻衣子が、息を切らしながら俺に追いつき 背中をポンと叩いた。
振り返ると、ハァハァと息をしながら「よっ」と言って笑った。
「大丈夫?昨日、全然連絡 返ってこなかったけど」
いつもの声で、少し心配そうな顔で聞いてきた。
「大丈夫、寝てただけ・・・携帯の電源、切れててさ・・・」
俺はぎこちない返事を返した。
視界の端に写る学生センターのガラスの壁を見ないようにするので 精一杯だった。
「ふーん・・・ま、元気ならいいけど」
俺の腕にしがみつきながら笑顔になる。
「食堂、いこっか」
そう言って、俺を引っ張って歩き始めた。
「集まってたんじゃないの?」
「いつもと一緒・・・みんな、ヒマなだけ」
俺の恐る恐るの問いを、何でもないように受け流す。
佐藤がいた事になど触れられるはずもなく、俺はただ引っ張って歩く麻衣子についていった。
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