MCがステージに出ると衿元を引き上げた。
内田の指示によるもので、衿元はいっそう浮き上がった。
『黒川さん気付くかな?』
吹き抜けを見上げた。
『上から見えちゃうかな?』
黒川が紹介し、RINがステージに上がった。
1部より声援が大きい。
「こんばんは~」
こんばんは~と帰ってくる。
吹き抜けを見上げて
「2F、3Fのみんな~。こんばんは~」
こんばんは~と帰ってくる。
「上から、ちゃんと見えますか?」
見えるよ~と帰ってくる。
「良かった~。最後まで楽しんでください」
「RINちゃん、もう騙されないぞ」
「ねえ」
柳田も相槌をうつ。
「えっ?」
「1部観た人はわかるよね?こんなおっとりしてるRINちゃん、曲がかかると変わるんだよ。楽しみにしててね」
RINちゃんコールが始まった。
「そんなことないです」
柳田が言う。
「そんなRINちゃん、新春歌謡祭に出演決定しました~。みんな拍手」
おめでとうと言う声も。
「ありがとうございます」
客席に軽くお辞儀すると、MCに向かってお辞儀した。
MCの黒川、柳田から両乳首が見えた。
『えっ。見えちゃってるよ。気付いてないの?』
柳田が心配した。
一方、黒川は喜んでいた。
『気抜いてるな。ご馳走さま。少しいじってみるか』
「ところでRINちゃんの衣装。可愛くないですか?」
可愛い~と声援。
「見えそうで見えないから、おじさん、ドキドキしちゃうよ」
柳田が頭を叩いた。
「もう変態。RINちゃん、ごめんね」
会場内が笑いで包まれる。
「黒川さんのエッチ」
黒川に野次が飛ぶ。
「すみません。では曲に行きましょうか」
「スーパーアイドルRINちゃん。まずはこの曲から」
柳田が言うと、サッと控え室に消えた。
このごろはや...
「柳田。RINの乳首見ちゃったよ」
「えっ。見えてた?私も見ちゃった。RINちゃん、気付いてないよ。大丈夫かな?」
「お前が引っ張ったからじゃないの?」
柳田は責任を感じ控え室のカーテンを少し開けてステージを見た。
「どう?おっぱい見える?」
「黒川さん...」
「冗談だよ」
『3曲終わったら、胸元どうなってるんだろう?』
黒川は楽しみにしていた。
「声援凄いね」
「俺もRINちゃん推しになりそう」
「MCが贔屓しちゃダメじゃない」
「わかってるよ。素顔はどんな子なんだろ?あのメイクも魅力的だよね」
「打ち上げで見れるんじゃない」
「そうかな?」
「そろそろ終わるぞ」
「RINちゃん、お疲れ様~。みんな騙されたでしょ」
また会場が笑いに包まれる。
2人は胸元を見た。
『大丈夫みたいね』
柳田は安心した。
「RINちゃんの物販は予定を変更しまして、この後すぐに始めます。1部の整理券お持ちの方は、あちらへ並んでください」
席を指差した。
「RINちゃんの物販人気ありましたね。黒川さん、もう並んだみたいですよ」
「では、2部の方もお並びいただいてスタートしましょう」
「スーパーアイドル RINちゃんでした~」
「ありがとうございます。物販に遊びに来てください」
3人は控え室に入った。
「今日はありがとうございました」
深々と頭を下げて、胸を露出させた。
黒川は生唾を飲み込んだ。
『スゲー』
「こちらこそ」
柳田が声をかけると、RINは身体を起こした。
「RINちゃん、物販に」
「はい」
「RINちゃん、ごめんね」
「えっ?」
「さっき衣装引っ張って乱しちゃったかな?」
衿元を押さえた。
「見えちゃったですか?」
「見えてないよ。でも、直した方が良いかも」
「ありがとうございます」
RINは裾を引っ張った。
『見てくれたのね。柳田さん、優しいな』
「じゃあ、行ってきます」
物販席に向かった。
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