精の限りを尽くした兄弟は恵子を部屋に残して一階に下りて行った。やがてマットレス、毛布、衣類、ペットポトル
の水と食料などを二階に運び上げた。首輪に繋がれたままでも着替えができるように、ジャージとランニングシャツ
が恵子に提供された。こまごまとした物まで用意されてるのを見て、恵子は本気で男たちが自分を孕ませ、出産
させようとしているのを悟った。昨日までの自由な生活が嘘のように音を立てて崩壊したのだった。恵子は
大声をあげてその夜泣き続けた。
恐ろしい時間も次第に鈍感になって苦痛が減ることがある。日がたつにつれて恵子は涙を流さなくなっていた。
男たちは働き者らしく、拘束されている以外は恵子が不自由しないよう、色々と恵子の世話をした。
恵子の望みはいつか救助する者が現れることか、男たちの隙をみてこの家を脱出することだった。だが天井には
監視カメラがあり、鉄格子の入った開かない窓、一階へ降りるにも鍵のかかる鉄格子の扉があって、とても
自力で抜け出すのは無理だと思えた。うまく抜け出せたとしても山奥にあるというこの場所から、無事に人家のある
場所まで行けるかわからなかった。しかも今の恵子は丈夫な首輪に登山用のロープで繋がれているのだった。
恵子は産婦人科病棟に勤務していた時のことを思い出していた。夜勤の日、確か夜中の2時ごろ、その電話はかかってきた。
>>3 メモ帳に下書きしてのコピペです
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