サトシ
「もしかして、旦那が捜索願だして、警察が助けに来てくれるとでも思ってる?」
「だから、もうちょっとだけ我慢すれば済むと思ってそんな態度なの?」
りえ
「・・・」
りえは答えなかった。
だが、確かに、りえの心の中には、指摘された通りの思いもあった。
この可視化が進んだ現代社会において、こんな犯罪は絶対にすぐ捕まると思っていた。
きっと主人が捜索願いをだして、近いうちに警察が
必ず助けに来てくれると信じていたことも間違いではない。
でも、この男を相手にしたくなかったのは
りえの女としてのプライドだった。
昨日、この男にこれまで生きてきたりえを
無残に切り裂かれ、ぐちゃぐちゃに踏みにじられ犯された・・・
絶対にこんな卑劣な男に屈したくない・・・
童顔で小柄な、可愛らしいりえの見た目からは
想像もできない程の強い決意だった。
でも、そのりえの決意を打ち砕く衝撃の事実を男は口にした。
サトシ
「しばらくは助けにきてくれるのは期待できないと思うよ」
「昨日夜、旦那にこのLINEを君のスマホから送ってるから」
「君が寝ている間に、指紋認証でロックを解除して」
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【りえのLINEの画面】
〇不倫の証拠写真 【既読】
〇不倫動画 【既読】
【りえ】
あなたのこと信じてたのに、私を裏切っていたのですね。
不倫相手から送られて来たものです。
しばらく実家に帰るので、一旦距離をとって
お互い、今後のことを真剣に考える時間を作りたいです。
両親にもちゃんと事情は説明しました。
一旦、戻ってきなさいと承諾してくれています。
私も許せるのか真剣に考えてみます。
その為に一度冷静になる時間がほしいです。
本当にショックだったんです。
今はあなたの安易な言い訳とか言い分とか聞きたくないです。
その動画や写真がすべてだと思うから・・・
今は私もあまりのショックに動揺して感情的になってる・・・
正直、許せる自信がない・・・。
身勝手かもしれないけど、だからお互いに冷静になって
真剣に向き合って、今回の結論が出でるまでちゃんと考えたいです。
だから、それまであなたから連絡してこないでください。
それが、私からの心からのお願いです。
答えが出たときにお互い話し合う機会を設けましょう。
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りえ
「何ですかこれ?」
「絶対にこんなこと在りえない。絶対に・・・」
「こんなLINE信じるわけないし、優しい翔君がこんなことするはずない」
「私を捨てて、浮気する勇気なんて絶対にない。」
「こんな内容絶対、翔君も嘘だってすぐ分かります」
りえは、旦那の性格やすべてを知っているだけに断言した。
サトシ
「じゃあ、なんでその後、旦那から連絡ないんでしょうね?」
「嘘だったら、嘘と連絡すればいいのに、それすらない・・・」
「どこかに思い当たる節があったんですかね?」
りえ
「そ、そんなはずない・・・・」
首を横に振った。
りえは奈落の底に突き落とされた気分だった。
サトシ
「僕は君のことなら、何でも知ってるんだ」
「何年もずっと、毎日あなたの家庭から出るゴミを隅々まで調べてるから」
「あなたの好む食べ物も、どんなメーカーの化粧品を使って、どんなブランドの服が好みで・・・」
「君の好きなテレビも・・好きな音楽も・・・」
「君の生理の周期も・・旦那との性交の回数も・・・・オナニーの回数も・・・」
「君が愛する旦那のことも・・・」
りえ
「そ、そんなはずない・・・・」
「そんなの絶対に嘘よ。」
ごみの中身はともかく、その他のプライベート部分まで、この男に分かるわけない・・・
サトシ
「去年、あのコンビニの景品でコンセント式のアロマソケットライトが当たって、
それを自宅で使用しているんじゃない?」
確かに、景品で当たって使っていた。
あの時、レジの担当はこの男だったことも思い出した・・・
サトシ
「あれに盗聴器をしかけてあったんです。」
りえ
「ぅそ・・・。」
サトシ
「コンビニで全国一斉に開催していたスクラッチくじの景品企画期間に
この店舗オリジナルの景品があるようにあなただけに装ったんです。
そこで何を引いてもアアロマソケットライトが当たるようにしたんです。」
「もちろん、独自の企画なんてやっていませんでし、そんなことある訳がない。」
「でも僕にはそれが出来た。君のある法則を知っていたから。」
「君は、生理前の旦那さんの帰りが遅い日は、高確率で必ず夜遅い時間帯にお店に来きてましたよね?」
「そういう日は、なぜか、いつも先にトイレを借りて、なかなか出てこない。」
「そして、その日はいつも急に慌ただしく帰る・・・。なぜでしょうね?」
「だから、その時をずっと狙って君を騙したんです」
「そんな企画やってるの?とか考えない、余裕がない時を狙ってね」
りえは、言葉が見つからなかった・・・
サトシ
「君の部屋のゴミから、アロマの精油の瓶が結構出ていること多かったし、壊れたアロマディフューザーが入っていることもあった」
「君たちの会話からもアロマ好きということも分かっていた。」
「だから、アロマ好きの君なら絶対にライト付きのアロマソケットなら使ってくれると思ったから。」
「そして君は僕の予想通り、それを使ってくれた。」
「だから君の好きな音楽も、いつも見るテレビも、旦那との会話も、旦那との営みの回数も全部知ってるんだ」
「下ネタ苦手そうな可愛い君が、毎日オナニーしていることも・・・」
りえ
「・・・」
話を聞いているだけ、ゾッとして身の毛がよだつ。
そして、自分の血の気が引いていくのが分かった・・・
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