信じられなかった。
自分は一体、何をしているのか。
意識の無い、いや、熟睡している裸の男を引き摺って移動させながらコダマは考えていた。
さすがに全裸のままというわけにもいかず、先刻、羽織ったシャツを素肌の上から引っ掛けた少女は、廊下を隔てた位置にある男の寝室のドアまで辿り着く。
ドアを開けたコダマは、ラストスパートとばかりに男を室内に引き摺り込む。
部屋の中、脱ぎ散らかしたスーツとは対照的に、律儀に畳まれた布団。
身体から手を放し、布団を敷くことは断念して父の身体に掛け布団だけを掛ける娘。
鼾をかき始めた男を尻目に少女は父の寝室から出て浴室に向かう。
出血が無いことは分かっていた。
だが、擦り剥いたようにヒリヒリと痛む膣。
痛みから自分の性器の貌が手に取るように分かる程だ。
既に冷めきった残り湯では寒かろう。
だが、シャワーを浴びれば音が響く。
妹には今の姿を見せられない。
父の醜態を妹が眼にしてしまう可能性も考えられる。
諦めて残り湯で躯を濯ぐコダマ。
一年ぶりであった。
冷めた残り湯で震える躯を清めながら、少女は考えていた。
清めることが出来ないことは分かっていた。
躯ではない。
心だ。
勿論、襲われて犯されたことに衝撃は受けている。
三度目だ。
だが、むしろ少女は自身の変貌ぶりに衝撃を受けていた。
途中まで意識が無かったとはいえ、明らかにコダマは肉の悦びに打ち震えていた。
いや、肉体だけではない。
精神も、だ。
いや、それも違う。
待っていたのだ。
その事実に慄然とする少女。
襲われるのを待っていた。
犯されることを待っていた。
何故か。
それも分かっていた。
襲われると興奮を覚えるのだ。
犯されることに興奮を覚えるのだ。
少女は自分が名実共に破廉恥な牝であることを自覚していた。
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