家路を辿るコダマの足取りは重い。
以前、父に言い放ったことがある。
・・好きな人が・・出来たって・・
・・結婚・・だって・・・
二度目に襲われた翌日だった。
あの時は激情に任せて言い放ったに過ぎないのだが、今は違う。
しかも父に言い放つのではない。
少女は自分自身に言い聞かせていた。
自分には異性から寄せられた好意に応える資格は無い。
好意を寄せられる価値もない。
少なくとも父との関係が続く限りは、だ。
何故ならば・・・もはや歪んだ悦びを自ら求めてすらいるのだから・・。
つい先日、妹は初潮を迎えたばかりだ。
日々、女の子から少女へとその躯つきが変わっていく。
冷や冷やしていた。
風呂上がり、着替える際の無防備な姿。
「え?だって家族だよ?」
そう、家族なのだ。
ヒカリの言い分は正しい。
コダマも同じように思っていた。
けれども過ちは起きてしまったのだ。
しかも続いている。
だから言っているのだ。
だが、妹は理解出来ないし、姉は理解させられない。
理解出来るわけはなく、理解させられるわけもなかった。
しかもヒカリの姿もまた、母であるノゾミに似てきている。
或いはコダマ以上に似ているかもしれない。
絶望的であった。
破綻を回避出来る気がしない。
先延ばしに過ぎないのだろうか。
いつかは弾丸が発射されるロシアンルーレットさながらであった。
だが、想定外の暴発がコダマを襲う。
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