男は少女の肩に添えていた左右の手を、その存在を控えめに主張する双つの膨らみに這わす。
堕ちる覚悟は、とうに出来ている。
とは言え、男には少女の肉体に苦痛を与える気は毛頭無かった。
自らの狼藉の痕を逆撫ですることは避けねばならない。
男の手が少女の左右の乳房を優しく覆う。
辛うじて触れるか触れないか。
ギリギリの間隔を維持しながら接する男の掌と少女の乳首。
それは偶然にも少女の好む触れ方であった。
微妙に焦らされるような触り方。
それは奇しくも亡き妻が好む愛撫の方法でもあった。
ん゛ふっ・・
痛かったのだろうか。
慌てて少女の乳房から手を離した男は、その手を下方に滑らせた。
肋骨の硬い感触を過ぎると、柔らかく滑らかな、されど張りのある鳩尾を、その下の臍を経た男の右手が少女の恥丘に至る。
あ。
怯えたように声を漏らす娘。
細く柔らかな若草に彩られた恥丘。
若さと幼さを兼ね備えた少女の躯は熱い。
まるで発熱しているかのように熱を秘めた躯。
「・・嫌、ダメ・・。」
少女の発した拒絶の言葉。
だが、そこに拒絶の意思は存在しない。
『嫌』なのは、少女自身が昂ぶっていることを知られることであった。
『ダメ』なのは、昂ぶっている徴に触れられることであった。
拒絶は少女の潔癖さに由来する羞らいによるものであり、男の愛撫に対するものではなかった。
くたり
不意に少女の躯から力が抜けた。
まるで糸を切られた操り人形のように。
男の指が熱く粘る少女の蜜に塗みれていた。
震えながら男を振り返る少女。
十年前と同じアングル。
同じ位置から同じ角度で見つめ遭う父と子。
違うのは少女の瞳を満たす光のみだ。
熱で浮かされたように潤んだ瞳、それは牝の眼であった。
・・お、と、う、さ、ん・・。
唇の貌だけで少女は呟く。
声帯を用いず、ただ唇だけで呟きながら父を、、いや、牡を求めている少女。
自らを獣として卑下していた男は、その娘もまた、その身の裡に同じく獣を住まわせていることに気付いていた。
男は娘が愛おしかった。
愛おしくて気が狂いそうだ。
いや、違う。
自分は既に狂っているのだ。
食べてしまいたい。
そう思いながら、男は膝の中に座る少女の躯の向きを反転させた。
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