「ぃギっ・・ウぐっ・・。」
奇跡であった。
二人の前から席を辞し、布団に潜り込むまで鳴咽を堪らえることが出来たことが、だ。
しかし、奇跡が過ぎ去った後、あまりにも少女は無力に過ぎた。
枕に顔を押し付け、コダマは声を殺して泣き続ける。
母の死が少女に孤独を強いていた。
母の死が男に誤ちを犯させた。
母の死により全ての責任を少女が負っていた。
母の死により妹を守るべき存在にされていた。
・・無理・・だ・・。
・・背負いきれるわけ・・ないよ・・。
そんなコダマの耳に男と妹の会話が洩れ聞こえる。
・・お姉ちゃんの味噌汁・・
・・うん?
・・お母さんと・・同じ味・・。
味噌汁だけではない。
母と同じ味。
だからこそ、だ。
女として愛されていないにも関わらず、強制された性行為。
それはまだいい。
求められてすらいなかった。
程の良い代用品であり消耗品。
それが昨夜の少女の存在意義であったのだ。
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