「お姉ちゃん、朝だよ?」
「あ。うん。分かった・・。」
朝?
ノックとともに妹の声がコダマを夢から呼び覚まし、覚醒を促す。
枕元の時計を見れば、時刻は午前七時。
確かに朝だ。
だが何故、妹のヒカリは休みの日に限って早起きなのだろうか。
普段は幾ら起こしても起きず、ダラダラと布団の中に居座るクセに。
だが、今日に限っては感謝だ。
繰り返し続いていた悪夢から引っ張り出してくれたのは、他ならぬ妹の声なのだから。
そう思いながら寝返りを打った少女は、肩に触れた朝の冷たい空気に震え上がる。
同時にコダマは、布団の中にいる自分自身が裸同然、、生理用の下着しか身に付けていないということに気付く。
そして何よりも、下腹部の芯に残る鈍痛。
途端に全ての記憶が蘇る。
繰り返し続く悪夢?
違う。
悪夢のような現実が、今尚、続いているに過ぎないのだ。
泣きたい想いを堪らえつつ、少女は着替えるべく、いや、正確には服を着るべく布団から出た。
衣装ケースを開き、秋物の長袖Tシャツ、そしてオーバーオールのパンツを選ぶ。
身繕いを終えたコダマは廊下を経て、ダイニングに至るドアを開けた。
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