ようやく、と言うべきか、性器から流出する異物が目立たなくなった頃、、その全てが処理出来たわけではないのだろうが、、少女は鈍痛を堪らえて立ち上がる。
洗面台の下に納められた生理用品、そして生理用の下着。
躯の水分をザッと拭き取ると、コダマは身体を屈めて取り出したそれらで処置を施す。
胸元から下腹部までを巻き付けたバスタオルで隠した少女は、バスルームの照明を消しながら玄関の様子を伺い見ていた。
玄関にわだかまる人影が動いた様子はなかった。
今夜の出来事をコダマの胸だけに収める為には、為さねばならないことが残されている。
少女は残り湯で濡らし、厳つく絞ったタオルを手にしていた。
吐き気がしそうな想いを堪らえ、コダマは男の様子を伺いながら、その距離を縮める。
最後に為すべきこと。
そして為さねばならないこと。
それは床と男の下腹部に残る許されざる行為の残滓を消し去ることであった。
男の性器、その周辺をタオルで拭い、付着した精液と破瓜の血の痕跡を消す。
グニャリと萎えたペニス、これが自分を貫いたとは正直、信じられない。
だが、男の下腹部、そして床に零れ落ちた性行為の残滓は生々しく、起きてしまった事実を少女に突き付ける。
滑稽であった。
今、自分がしていることが、である。
被害者たる自分が事態の収拾を図る為、痛みと屈辱を堪らえながら、汚濁を拭き取っているのだ。
皮肉なコト、この上ない。
笑い出してしまったら、どうしよう。
きっと笑いが止むことはないだろう。
・・その時は・・
気が狂う・・んだろうな・・。
笑って笑って笑って笑って笑って、最後には笑い過ぎて気が狂う。
・・いっそ、それも悪くない・・。
引き摺るようにして男を彼の布団の上に転がしたコダマが柱時計を見上げると、時刻は既に午前三時。
頭が痛い。
身体が強張っている。
そう想いながら自室に引き上げた少女は、布団の中に潜り込むや否や、深い眠りに堕ちていった。
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