第三章 紫陽花
雨がジトジトと降る日が増え、紫陽花の花が顔を出し始めていた。
佐野はラインを見て慌てて橋の下に向かうと、飯塚、増田、山本の三人が待っていた。
飯塚「おう!佐野…てめぇ何かオレに黙ってることねーか?」
佐野「なんもねーっすよ!」
増田「ホォ…じゃあ昼に杉崎彩香を呼び出してんのは…なんでだ?」
佐野「いや…それは…。」
ボコォ!!
増田は佐野の腹にパンチをすると、佐野は痛みから崩れ落ちて腹をかかえている。
飯塚「おめぇ言ったよなぁ!訴えようとしているから手は出すなって。お前だけ抜け駆けしてヤッてたってことか…。いいご身分だなぁ!」
バキッ!
佐野「グエェ!!」
佐野は腹を蹴られて情けない声を上げる。
佐野「すいませんっ!…すいません!」
飯塚「ただで済むと思うなよ!明日は土曜日でたまたま部活も休みだ。お前、杉崎を呼び出せ。場所は…そうだな…原田さんの家だ。原田さんの家までなんとかして連れてこいや。」
佐野「原田さん?…あの人はやばいんじゃ…!」
増田「オレ達もこうなっちゃ容赦出来ねぇんだよ。お前明日連れて来なければどうなるかわかってんなぁ!」
佐野「はぃぃ!わかりました!」
佐野は情けない声で返事すると、腹を抑えながら帰っていった…。
佐野は家に帰ると早ると、早速彩香に連絡した。
佐野(明日一日オレとデートすれば、オレの持ってる全てのデータを渡す!来なければバラまいてやる!)
彩香はラインを見て最悪な気分になった。
(健人くんとデートだったのに…あの男とデート!?…冗談じゃない!!…でも…行くしか…ない…!)
彩香(本当に…本当に終わりにしてくれるんですね!?)
佐野(ああ…本当だ!その代わり来なければ…全てバラ撒いて終わらせる!)
彩香は佐野の話など全く信じてはいなかったが、当然選択肢など無く、一縷の望みに賭けるしかなかった。
(健人くん……健人くん…!…本当に…ごめん!)
彩香は不本意にも健人のデートの誘いをどうしてもの用事が出来てしまったと断った…。
次の日…。
彩香は制服で学校の近くにある駅で佐野を待っていた。
(制服で来い!最後の思い出作りだ!)
佐野のラインを見返して気分はさらに落ち込んだ。
(あんな男のことは信用できない!!でも…どんなことがあっても…今日で…終わらせる!)
彩香は刺し違える覚悟で今日の日を迎えていた。
佐野「彩香!…待たせちまって悪かったな!そんじゃ、行くか。」
彩香「は……はい……。」
彩香はやけに優しい佐野を見て一層疑い警戒していた。
彩香「ど、どこに…行くんですか…?」
佐野「男と女が行くところなんて1つだろ!」
そういうと佐野は彼氏気取りで彩香の手を引き電車に乗った…。
電車に揺られながら、不安な時間が過ぎて行く…。
男女2人で行くところ…。まだ15歳の彩香には買い物やファミレスなどのデートをすることしか予想出来なかったが、この男の最後の思い出作りがそんな生易しいものではないことは分かっていた。
[今日は挿入される]想像したくもなかったが覚悟をせざるを得なかった。
隣の駅ですぐ降りると、町から少し離れた閑静な住宅街が広がっていた。
彩香「ここ…ですか?」
佐野「まあ大人しく付いて来いって!」
彩香の手をぐいと引っ張ると住宅街を進んで行く。気のせいか佐野の顔も引きつっているように見えた。
やがて路地を曲がって行くと、しばらく山沿いを歩いたところで林の中に一軒家が見えてきた。
彩香「え…?ここ…?」
佐野は何も言わずに早歩きに進み、すぐに家の前までたどり着いた。
彩香「いや……怖いっ…。」
彩香が直感で恐怖を感じた時にはすでに遅かった。
急に家の周りから数人の男が飛び出してきて佐野と彩香を取り囲むと、彩香はあっという間に腕を掴まれて拘束された!
飯塚「おっ!マネージャーお疲れ!」
増田「杉崎~!待ってたぜ~!」
彩香「いやあぁぁ!!!!…………佐野さん!!?」
飯塚と増田意外にも3人の男が待ち構えていた。どう見ても高校生では無かった。
「ははは!こんなヤツのとこ信じてたのかお前!」
「こいつは自分のためにお前を売ったんだよ!なぁ佐野ォ!」
1人の男が佐野に蹴りを入れる!
佐野「ぐぁっ!すいません!!もう隠れてやったりしませんから…!」
(サイテー…。)
彩香は一瞬でも佐野を信じたことを後悔した。だが、そんなこと考えられないほどこの暴力的な男たちに恐怖していた。
「お前は見学だ!指しゃぶって見てな!」
男達が一斉に取り囲むと、胴上げでもするように彩香を抱き抱えて家の中に無理矢理連れ込む!
彩香「いやあぁぁっ!やめてぇぇ!やめてよぉぉぉ!」
一軒だけ山沿いに佇むこの家で彩香がいくら叫ぼうと誰の耳にも届くことはなかった。
彩香は家の中にあった綺麗に真っ白なシーツが敷かれたベッドに放り投げられると、すでに数台のカメラが三脚にセットされていた!
彩香「やめてぇぇ!やめて下さいぃぃ!!」
佐野にレイプされた時にも見せなかったほど号泣する彩香。だがそれは男達を興奮させる材料にしかならない。
「いい加減うるせぇんだよ!黙れや!」
1人の男が容赦なく彩香の身体に蹴りを入れる!
彩香「ぐっ!……げほっ…ゲホ!…」
彩香は恐怖と痛みから大人しくなりすすり泣くしか出来ない。
すると、部屋の奥から大柄の男が現れた。
すると、男達は一気に静かになり彩香から一歩離れた。
?「おいおい…殴ったら可哀想だろ…。こんな年端も行かない女の子を。」
彩香はその男を見ると、ワイシャツにスーツのズボンを着た体格のいいオヤジが立っていた。明らかに年齢は10以上離れている、下手すれば彩香の父親ぐらいの年齢ではないかと感じる。
彩香「ひっ……!」
「お前原田さんに失礼だろ!ちゃんと正座しろ!!」
男達にどやされ、彩香は啜り泣きながらベッドの上でちょこんと原田という男に向き直り正座した。
原田「まぁまぁ恐がるのも仕方ないだろ。可愛い顔して可哀想に…若いのが失礼したねぇ。」
彩香は先ほどの男達の態度から一変、この男からかけられる優しい口調に少し警戒心を解いたが、焼けた茶色の肌に坊主頭のこの男が明らかにまともな人間であるとは思えなかった。
原田「それで…そこの佐野というやつに何やられてたんだ?」
彩香「………………。」
原田「話さなくちゃわかんないだろ?」
原田はたむろするようにしゃがみ、彩香の顔をギラつく目で覗き込んでくる。
彩香「…昼休みに……ちんちんを……舐めたりしました…。」
原田「おい…佐野とやら…本当かい?」
佐野「はいっ!…すいませんでした!」
原田は謝る佐野をつき飛ばすと思いっきり蹴りを入れた。
バキィィ!!
佐野「ぐおぉぉぉぉ!」
彩香「きゃああああ!!」
佐野が蹴りを入れられ苦しむ姿に彩香は思わず悲鳴をあげる。
原田「彩香ちゃん…とりあえず…一本は折れたかな?…これで…ケジメつけさせるけど、不服かい?」
彩香「も、もう…い…いいです…!」
彩香は恐怖に声が震えてしまう。
原田「佐野とやら、優しい彩香ちゃんに感謝しろよ!……それでだ、この佐野ってやつが勝手に出しゃばったせいでこいつらが収まりつかないって言うもんでな…。」
彩香はガクガクと体を震わせる。
原田「大人しく言うこと聞けば、悪いことはしない…わかるねぇ?」
彩香は震えながらコクリコクリと頷いた。
原田「彩香ちゃんが可愛くていい子で助かったよ…彩香ちゃんがみんなの為にやってくれるってよ。感謝しろよ!」
男たちからは拍手と喝采が巻き起こる。
彩香は今までの人生で二度目の最悪の日を経験しようとしていた。
※元投稿はこちら >>