◎やけぼっくいは燃えやすい
タカハシ氏は四十九歳、某中堅企業の中間管理職を務めている。妻の希美は四十三歳。もともとは細身だったが、年齢とともにやや脂が乗りだしたら肌に張りとうるおいが出て、初対面の人はたいがい三十代半ばに見えるという。
息子の宏海は高三で、医学部目指して毎日深夜まで猛勉強中。小五の娘結衣はやたら色気づいてきて、エッチに興味津々だ。そのため希美は「妙な物音とか声を子供に聞かれたらどうするの」と、ここのところずっとタカハシ氏の求めを拒み続けている。実はタカハシ氏は二十代の部下と不倫中で、性的な面では妻に拒まれてもさほど不自由は感じていない。定期的に妻を求めるのは、浮気がばれないためのポーズ、隠ぺい工作の面もあった。
この夏、タカハシ氏の夏休みは水曜から火曜までの七日間だ。だが四日目まで息子の泊まり込み受験対策セミナーと日程が重なる上、参加は任意だが、最終日には親子面談がある。加えて夏休み初日は、妻の希美にとっても、長年続けている日本舞踊の稽古日で、しかも発表会前の大事なリハーサルだという。日程的に遠出はままならないので、タカハシ氏は考えた挙句、夏休み二日目から夫婦と娘の三人で実家へ車で帰省し、息子はセミナー後に実家へ直行する案を出した。祖父母に猫かわいがりされている結衣は大賛成だが、タカハシ氏の父母とはあまりうまくいっていない希美は気が乗らない様子だ。
そこへ希美の高校時代の友人から、木金の日程で一泊二日の温泉旅行の誘いがかかり、妻はなつかしい仲間と積もる話をするために、ぜひ行きたいと強く頼み込んでくる。実家を敬遠したい気持ちがそういわせているのは明瞭だが、自身も浮気しているうしろめたさもあって、タカハシ氏は妻の旅行を認めることにした。希美が温泉から帰った翌日の親子面談にも出席すれば、帰省は実質二日間だけ。これなら希美も不満は言いにくい。帰省を楽しみにしている結衣だけは、夏休み初日にタカハシ氏が車で送り届け、自分はとんぼ返りすることにした。
タカハシ氏としても、帰省期間を短縮すれば嫁と姑の冷戦の真ん中でおろおろしたり、希美につきまとう父親や兄たちに不快感を感じる時間が減るわけで、内心では大歓迎だ。
木曜の朝、温泉旅行に出発する希美は、結婚前から持っていた、ひざ丈の白のワンピース姿だった。流行に左右されにくい定番とはいえ、二十五年も前の服をわざわざ着ていくのは、体形が当時と変わっていないのを友人にさりげなく自慢したいからだろうと、タカハシ氏は妻のミエと女心を邪推した。希美を車で駅まで送ったタカハシ氏、車を降りた妻が強い夏の日差しにさらされると、ワンピの下のピンクのブラとパンティーが透けて見えるのが気になったものの、希美が手を振って駅舎に消えると、さっそく浮気相手の部下にラインし、今夜は自分一人の自宅に呼びつけた。もちろん、夫婦のベッドで不倫セックスする背徳感を堪能する気だ。
タカハシ氏は妻が女友達と旅行するのだと勝手に思っていたが、電車の中、希美の隣に座ったのは元カレの金井だった。金井は希美が処女を捧げた相手でもある。お互い、旅行に何か思い出の品を持参しようと約束したので、当時金井が一番好んだ白のワンピースを選んだのだ。二度の出産を経験して、正直、胸と腰回りはややきつくなっている。
希美は高一の時、バイト先で大学三年だった金井と知り合った。金井は大学卒業後、郷里の会社に就職して遠距離恋愛になったのだが、これまでのようには恋人に会えなくなった希美の寂しさに付け込んだのが、金井の先輩や悪友たちだ。金井の近況を教えると嘘をついて、希美を呼び出しては弄び始めた。希美が3Pを初めて経験したのもこのころだ。もちろん、卑劣な男たちが希美を嬲り尽くしたのだ。希美はその負い目から金井との連絡が途絶えがちになって、やがて二人の恋は終焉を迎えた。そのあたりの経緯を知らない金井は、単純に遠距離恋愛の難しさだと受け止めていた。金井にはすでにセフレが複数いたので、別れの衝撃も小さかったのだ。
それが先日、急な雨を避けて希美が喫茶店に飛び込むと、窓際のボックス席に金井が座っていたのだ。聞けば金井は仕事上の失敗でこちらの営業所に左遷され、単身赴任してきたのだという。このときは通り雨が止むまでの、十五分ほどしか話せなかったが、連絡先を交換し、十日ほど後にファミレスで昼食をともにした。懐かしさに同情が加わって、やけぼっくいに火が付くまで時間はかからなかった。
三分の一ぐらいしか座席が埋まっていない車中、ほとんどの客は居眠りしている。金井は大胆にも希美のワンピのボタンを外して下着に手を入れてくる。「お前は昔、これが大好きだったな」とミニローターを見せられ、女子高生のころのように身体中をキスされながら乳首や秘所をなぶられた。自分の弱点をピンポイントで攻める男の巧みな愛撫に、上着のワンピに染みができるほどに希美のあそこは濡れ、何度か軽くイカされもした。
旅館に着くと案内の仲居が部屋を出たか出ないうちに、ワンピの裾をめくられ、小さなピンクのビキニのパンティーを脱がされて、そのまま犬の格好で挿入された。二十五年ぶりの感触と、あのときよりも絶妙な味わいを増した締め付けに、金井は突き上げの激しさを加速させ、希美の子宮がタプタプいうぐらい、大量の精液を中出しした。
その後も金井のちんぽは興奮しっぱなし。日暮れにはまだ間がある明るい時間なのに、客室に併設された露天風呂で、お湯をじゃぶじゃぶ揺らしながらもう一発。ここでふとわれに返った希美が、きょうは危険日だから避妊具を使ってほしいと伝えた。これは、金井にとっては希美を再び自分だけの女に堕とす好機でしかない。「おれの子供を産んでくれ」「おれも離婚するからお前も旦那と別れて、二人で子供を育てよう」と逆に燃え上がってしまった。
本当は食事のあと、花火を見に外出する予定だったが、欲望に火が付いた男が強引に浴衣を脱がしにかかったので、妊娠を恐れた希美は「前はもう十分だから、今度はこっちに入れて」とアヌスを差し出し、夫より大きなものをお尻の穴で飲み込んだ。金井はちんぽを輪ゴムのように絞め付ける肛門括約筋を味わいながら、「お前、すげぇ女になったんだなぁ」とささやいて希美を恥ずかしがらせた。
金井が希美に仕込んだのはフェラチオまでで、希美のアナルを味わうのは初めてだった。希美の尻穴を開通させたのは、OL時代に秘書として仕えた社長だ。希美のマゾ気質を一気に開花させた社長は、今でも年に数回、おしのびで希美の自宅を訪ね、茶の間や夫婦の寝室で希美の肛門を犯していく。「前の穴はいろんな男に使わせているみたいだが、こっちはおれ専用だぞ」。希美を抱くたびに、社長は口癖のように繰り返していくが、スケベなタカハシ氏が快楽の穴を見逃すはずがなく、新婚当初からときどき味わっている。
何度かの連続放出で、さすがに落ち着きを取り戻した金井と、焼酎をやりとりしながらカラオケに興じていると、スマホに夫からの着信が。いささか酔った調子で、まず日中、連絡しても出なかったのはなぜかと聞いた後、答えを待たずに「明日は予定通り五時に駅に迎えに行けばいいのか」。疑っているわけではないようだ。「他の客にナンパされてもついていくなよ」という一方で「おばさんグループに手を出す奴はいないか」とガハハと笑って「まぁ楽しんでこい」と通話を終えた。背後でかすかにシャワーの音が聞こえていた。
スマホの真っ黒な画面をみながら、希美は「男ってバカよねぇ」とつぶやくと、浴衣の胸元から手を突っ込んで希美の乳房を揉んでいた金井が不信な顔でこちらを見る。「うちの亭主、きょうは自宅に自分しかいないからって、浮気相手の若い女を連れ込んでるのよ。わたしがそれに感づいてないか心配になったんだわ」
倦怠期とはいえやはり夫婦、夫の愛を奪われた喪失感と若い女への嫉妬で面白くない希美は、つい酒を飲みすぎて正体を失った。
翌日、早朝に目覚めた希美が朝風呂から部屋に戻ると、金井がベランダの椅子に座って浴衣の前を広げ、膨れ上がったイチモツを見せつけた。そして希美にフェラを強要。さらに柔道で鍛えた体でいやがる希美をベランダの床に押さえつけて正常位で挿入。帰りがけに身支度を整えた希美を捕まえてスカートをはぎとり、「絶対に孕ませてやる」と、また立ちバックで犯し、中出しを重ねた。金井は帰りの車内でも希美にいたずらし続け、駅で別れる前に、広い多目的トイレに連れ込もうとたくらんだ。しかし恋人気分がすっかり冷めた希美はしつこい金井を振り切り、夫が待つ車に走りこんだ。記憶が美化した初恋の騎士から性欲の塊のような中年に堕落した(だからといって嫌いになったわけでもない)金井の手を逃れてホッとした半面、膣内からジワジワ精液が垂れ降りて下着を汚しているのを感じ、希美は夫にその匂いを気づかれないか、自宅にたどり着くまでヒヤヒヤしっぱなしだった。
◎初秋とはいえどもまだまだホット
九月というのにまだ熱波が居座って、真夏日どころか猛暑日続きだ。だがタカハシ氏の汗は、暑さばかりが原因ではない。
タカハシ氏は経理部門の責任者なのだが、忠実なイエスマンであることを評価されての抜擢で、財務諸表の読み方もいささか怪しい。会社を食い物にしているオーナー一族としては、むしろ財務に無知でいわれるがままに資金を出し入れする人間こそ必要だったのだ。だから実務は部下で不倫相手の幸子に丸投げだった。その幸子からいきなり別れを告げられて三週間。来春には結婚退社するというのだから、仕事の面でもアタマが痛いが、性欲処理の面でも遊ぶカネの面でも都合が悪い。これまでは幸子が会社の裏金からタカハシ氏の必要な分を、うまくごまかしていたのだが、別れてしまってはそんな手段に頼れるはずもなく、今は風俗に行く軍資金にも不自由している。
医学部進学はカネがかかるからと妻はすっかり節約モードで、小遣いの値上げなぞまったく期待できない。受験を控えた子供に変な声を聴かれたくないと、妻の希美にも拒まれているタカハシ氏、暑さと禁欲の強制でイライラがもう我慢の限界に近付いていた。
きょうは祝日で、昼から家庭教師が来ていた。宏海に勉強を教えている大学院生の田沼は、夫の前でも平気で妻に色目を使う、いけすかない男だ。経費削減で冷房は子供部屋だけ、夫婦のいる居間はエアコンが切ってある。タカハシ氏はやむなくTシャツと五分丈ズボンで暑さに耐えている。妻の希美は、息子のお古のデニムの脚部分を、自分で股下ぎりぎりのラインで切り取ったホットパンツに、オリーブ色の長めのノースリーブのTシャツだった。Tシャツのわきは大胆に開いているから、横から見ると白のブラが丸見えだ。透けるような薄い素材でできた夏用のブラは乳首が浮き出して、Tシャツのわきからでも覗けてしまう。股上が短すぎる自作のホットパンツは、しゃがむと股間の隙間から、下着の白のパンティーがチラチラする。もともと露出が多い服装を好む希美とはいえ、ここまで大胆なのは珍しい。
希美がその格好のままで果物とジュースを息子の部屋に持っていこうとするものだから、普段鷹揚なタカハシ氏も、「さすがにそれは刺激が強すぎるだろう」と咎めたものの、希美は「若い人はおばさんに興味はないわよ」と笑って取り合わない。それどころか二階の宏海の部屋に入ったまま、小一時間戻ってこないので、たまってるタカハシ氏はあらぬ妄想が膨らんでいく。
そこへ車のセールスが、先日契約したアルファードを届けに来た。タカハシ氏は愛車の古いクラウンを気に入っていたのだが、帰省中にあった同級生らに「今時、まだセダンに乗っているのか」とさんざん馬鹿にされたので、衝動買いしてしまったのだ。新車は手が届かず中古車だが、フル装備で三百万超、この年式としては程度も最高に近い。先週、夫婦そろっての商談の際、タイトなミニスカだった希美の、足の間を熱心に覗き込んでいたセールスたちは希美の顔、というかパンチラを見るまで粘る気配だったが、タカハシ氏としては妻の挑発的ともいえる肢体を見せてやる気はなく、さっさと追い返した。直後に希美が上気した顔で、なぜか浴室から出てきたので、「一緒に乗り心地を試してみよう」とドライブに誘い出した。そのまま二十分ほど離れた海岸に向かい、誰もいない駐車場に止めると後部座席に希美を押し倒し、カーセックスを迫った。希美は「あんまり長く留守にすると子供たちが変に思う」とか、「まだ昼間よ」とか、理由にもならないようなことを言って抵抗したが、大学時代ラグビー部の主将まで務めたタカハシ氏の本気にかなうはずもない。
希美を脱がせてタカハシ氏が驚いたのは、乳房が記憶より一回り以上大きくなっていることと、あそこがツルツルだったこと。元来、希美は体毛が薄かったけれど、前回抱いたときには、陰毛はしっかり存在していた。妻を問い詰めると「暑いから剃った」とわかるようなわからぬような答え。しかし、あそこがしっかり濡れていることを指で確かめたタカハシ氏は、たぎる欲望が先行して追及もそこそこに、剛直したイチモツを希美の膣に突き立て、乳房を乱暴に揉みしだき、獣のような咆哮を上げながらセックスに没頭した。ツルツルのあそこは娘の結衣を連想させ、自分自身でも知らなかった禁断の願望がタカハシ氏を一層興奮させた。前に妻を抱いてから一か月以上、たまりにたまっていた精液は、希美の膣内からあふれて車のシートを汚したが、本革だったので簡単に拭き取れた。
体位を変えながらの三連戦で精力を使い果たして、ぐったりしているタカハシ氏に代わり、帰りは希美が運転した。子供たちの目をゴマかすための多少の買い物を終えて帰宅すると、ちょうど田沼が玄関を出ようとしていたので、希美がそのまま家庭教師をアパートまで送り届けることになった。
車に乗り込んだ田沼、すぐに車内に漂う性臭に気付き、運転する希美を「約束違反だ」と詰った。希美の陰毛が消えたのは田沼のせいだ。電車が架線事故で立ち往生して、宏海と結衣の帰宅が数時間遅れた日、田沼は希美のあふれるマゾッ気に誘われて、希美を縛りあげて犯した。そして「これからはダンナとするのは禁止だ」と一方的に宣言して、その担保として希美の陰毛を剃ってしまったのだ。きょうも宏海の隙をみて希美を風呂場に連れ込み、生えかけた陰毛をすっかり剃り上げたばかりだった。
田沼は性欲に、いや性格に問題はあるが、学年で二十位前後だった宏海の成績を三位以内に引き上げた優秀なセンセイだ。ここで機嫌を損ねたら、宏海の医学部進学の夢実現に支障をきたす。希美は「だらしないまんこでごめんなさい。もう二度と旦那とはセックスしません」と誓わされ、謝罪の為、やむなくアパートの駐車場で田沼の臭いちんぽを口に含み、あげくバックからの侵入を許すことになった。夕方とはいえ明るい時間帯、大きなサンルーフを全開にしたアルファードを、アパートの住民らが血走った目で覗いていることにはまるで気づかずに…。
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