玄関が開き、圭太が帰ってきたのは分かりました。普通なら玄関に出迎えにいくところですが、彼女は洗濯機の前で留まりました。
シーツを見てしまって、今は彼と目を合わす自信がなかったからです。『洗濯中だから、帰ってきたのがわからなかった。』、そう片付けてしまいます。
しかし、『洋子さぁーん!と彼に呼ばれると、これはもう顔を出すしかありません。『おかえりなさい。お店あった?』と声を掛けます。
『2階掃除して帰るけど、一緒にする?』と誘われました。彼の意図が分からない以上、一緒に避けたいと考えた彼女。
でも、『掃除して帰る。』という言葉に揺れました。『掃除さえ終われば、帰る。』というのです。
『私、洗濯してるから。後でゆっくりやります。』とどうしても乗る気にならない。
しかし、『シーツやろ?そのまま持って帰ったらよくない?』と言うのです。確かに一理ありました。しばらく使わないなら、家で洗濯するのも同じです。
『そうしようかぁ~。』と言った洋子は、これが圭太の甘い罠だとも気づかず、一緒に2階に向かうのでした。
先に2階にあがった圭太。『ここはいいか。』『ここもいいや。』と使わなかった2つの部屋を覗いて、洋子にそう言います。
そして、向かったのは洋子の使った部屋でした。一晩だったとはいえ、自分が使用した部屋を見られたくない彼女は、
『あまり汚してないから、ここもすぐ片付くから。』と、圭太を遠ざけようとする言葉を掛けてしまいます。『そだねぇ。』という圭太。
しかし、徐々におかしな展開になっていくのです。
片付け始めて、僅か2分後。『洋子さん、ノーブラ~?』と圭太が聞いてきました。もちろん、シーツの件もあり彼女は慌てます。
2日目だったため、下はもとかく、ブラジャーは外してしまったのです。服装も柄物だったため、気にされないだろうと思っていました。
『胸?つけてるよー。』とウソをつきます。まだ、それで騙せると思ったからです。しかし、『うそ。おっぱい見えてるもん。』と圭太は言います。
彼女は慌てました。自分の身体に目を向け、圭太のいう『見えてる。』という場所を探そうとしてしまいます。
その時でした。胸を見ていた視界に、圭太の手が現れたのです。その光景はスローモーションのように流れました。
圭太の手が胸元に手を掛け、グイーと引っ張っていくのです。7つあったボタンは、相当数が弾け飛びました。
シャツはダランと前が開き、洋子の大きな胸は2つともあらわになってしまいます。『やめてよぉー!』と叫び、自分の胸をふさいだ彼女。
それでもまだ、自分に迫る危機にもピンと来ないで、『なんで、圭太がこんなことをしたのか?』と、その理由を考えています。
『ホラ、ノーブラやん。』、圭太が意地悪く彼女に言います。まだ危機感の薄い彼女は、ウソをついた恥ずかしさから、何も言えず立ち尽くすのです。
『洋子さんのおっぱい、デカいなぁ~。』と言われても、また胸を押さえて突っ立っています。
『ところで、僕の精子みた?』の言葉に彼女は頭を上げます。自分で何かを言おうとしたのです。
しかし、『いっばい出てたやろー?あれさぁ、洋子さんで抜いたんでー!「洋子ー!洋子ー!」って。』、彼女は圭太の異常性を初めてみました。
圭太に初めて会ったのは、ほんの数か月前のこと。仕事もしなで部屋籠る、流行りの『ニート』みたいな生活をしていました。
確かに無口で社交性はありませんが、たまに洋子に見せる仕草はそれを払いました。さらに最近彼女に対しては口を開くようになっていたのです。
人の短所よりも、長所を見つけようとする性格の洋子は、ちゃんと圭太の良さを見つけ、自分にはいない男の子供のような感覚も持つようになっていました。
洋子は、早足で部屋を出ようとしました。前が肌けているために胸を押さえているので、走って出るということが出来ません。
しかし、『洋子さぁーん!待ってよー!』の言葉で、圭太に引っ張られるのでした。
※元投稿はこちら >>