◎渇田少年の恋の行方
宏海の高校では、三年分のカリキュラムを六月末までに終えてしまう。七月からは試験と出席日数の調整だけで、登校しても、ほぼ受験対策の自習だ。三年生に限って、二学期からは服装も自由になる。教師は一応教室にいるが、生徒の質問にこたえるのと進学相談が仕事だ。残暑が猛烈だった九月、宏海は夏風邪を口実に、学校をほとんど休んだ。十月に入ると、さすがに学校に顔を出さないとまずいかなと思い、登校を再開した。単位はすべて取っているとはいえ、内申書の生活態度でマイナス評価をつけられてもつまらない。
サラシに見切りをつけた宏海は、いろいろ試した結果、ワコールのスポブラが一番胸を揺らせないことがわかった。見た目もかなり小さくなる。段差を埋めるため腹にバスタオルを入れて、肥満者用のBB体の学生服を着込む。ズボンはバスタオルの下半分を押し込むために、ウエストが九十四センチのものに代えた。この格好だと、夏休み前の宏海を知る人は「そんなに太って大丈夫?」などと心配するぐらいデブに見えるが、しょうがない。学生服だけでなく、外出用の男物はすべてオーバーサイズに切り替えたが、今のところ誰も不審には思ってないようだ。
きょうは雨で蒸し暑いし、コートで着膨れした客でいつも以上に混む通学の満員電車、不用意に誰かの背中に胸を押し付けて、ギョッとされても困るので、わざと遅刻することにした。
三限目は本来なら日本史で、クラス担任の若林教諭の持ち授業だ。若林教諭は身長はそれほど高くはないが、ぎりぎり二十代で、独身で、かなりイケメンなので女生徒に人気がある。遅刻した宏海が、こそっと教室に入ったとき、若林教諭は「質問がある」という女生徒七、八人に取り囲まれていた。宏海が教壇のすぐ前の自席に着くと、しばらく後に思いつめた表情の渇田少年が隣に座った。この席の本来の主は、若林教諭を独占中で、他の女生徒をイラつかせている。宏海は、先週は渇田少年とはすれ違いになってしまい、顔を合わすのは一週間ぶりだ。
「あした、暇か?」。渇田少年の第一声だ。宏海は意表をつかれたが「家庭教師が辞めたんで、予定は何もないけど」。田沼をクビにしてから半月ほどになる。
「それなら映画に行かないか? 頑冥館でゾンビ映画の一日特集をやるんだ」。頑冥館は、質のいい小品を中心にしたプログラムで、シネコンにつぶされずに生き残っている、市内唯一の単館映画館だ。数年前に大改装して、カップル席やファミリー席を造り、そこでしゃれたコース料理を提供するというアイデアが当たって、おしゃれなデートコースとして知られるようになった。だが経営者は根っからの映画好きで、ときどきマニアックなプログラムをぶち込んでくる。
宏海は、人間の生死の境を問うゾンビ映画を嫌うものに、医者を志す資格はないと思っている。夏休み前に、渇田少年にそう力説したのを覚えていたようだ。
「なんだお前ら、デートの打ち合わせか? 明日は平日だぞ、おれの前で堂々とサボる相談をするなよ」。頑冥館という単語に反応した若林教諭が、タブレットで二人の出席日数を調べながら、割り込んできた。
「男同士で頑冥館に行っても、つまんないんじゃないか? まぁ、息抜きも受験勉強のうちだけどさ」。若林教諭はタブレットを見つめて、少し考えてから「渇田は丸一日休んでいいけど、タカハシ、お前は最近休みすぎだから、いったん登校しろ。一限目だけ出席したら抜け出すのは見逃してやる」といった。特集は初期のゾンビ映画を集めたものだから、それぞれは一時間ちょっと、今の映画より短いが、四本立てだからそれでも六時間近い。上映は十時から、一限目を受けると、一本目はぎりぎり間に合うかどうかになるが仕方がない。
翌日、宏海がいつ現れるか、いや、本当に来るのか、気が気ではない渇田少年は、頑冥館の前に立ち、辺りをキョロキョロ見渡していた。カップル席は学割が効かないから六千円、さらに昼食として、一人前二千五百円見当のコースを予約してしまったので、すっぽかされでもしたら目も当てられない。
というか、カップル席を取ったことは宏海には伝えていない。男子高校生が二人でカップル席、なんて、教師が聞き耳を立てている場でいえるわけがない。渇田少年は、宏海が巨乳の持ち主であることも(これは半分誤解だが)男と女装デートを繰り返していることも知っている。しかし、宏海は、渇田少年に自分の秘密を知られているとは感づいていないだろう。ここ五か月、宏海といろいろ話してきて、自分の好意は伝わっていると思う。この前は宏海を、うまく誰もいない体育館の隅に誘いこんで、壁ドンしてみたが、しばらく互いを見つめあうだけの沈黙が続いた後、面白い冗談だとかわされた。宏海があくまで渇田を級友、男同士としての付き合いしか考えないなら、カップル席を予約したことでキモがられ、すべてが終わる危険もある。カップル席に案内したとき、宏海がどう反応するかは少し心配だ。
そうこうするうちに、宏海が駆けてきた。渇田少年はほっとすると同時に、がっかりもした。いつかみたように、宏海が超ミニスカで来てくれたら、と淡い期待があって、スマホの望遠アプリで撮影していたのだが、ぶかぶかのジーンズのサロペットに、これもサイズが大きすぎる厚手の黒のトレーナー、右手で大きなキャリーバッグを引いている。スマホの画面に映っているのは、田舎からやってきた、おのぼりさんのデブの少年だ。
「待った?」服装はダサいが、宏海の声はいつもより、なんとなくかわいい。
「始まっちゃうからすぐに入ろう」。渇田少年は一般席に向かおうとする宏海の手首を強く握って、有無を言わせず二階のカップル席に押し込んだ。焦っていたつもりはないが、宏海のキャリーバッグががんがん階段に当たって、大きな音を立てた。
「高かったんじゃないの。半分出すよ」。初めて入ったカップル席を見渡して、宏海の声がさらに女の子っぽくなった。
「バイト代が入ったから大丈夫だ。おごるよ」。宏海がカップル席をすんなり受け入れたので、渇田少年の中で根拠のない自信と期待が盛り上がった。
カップル席は、周囲に話し声が漏れないように防音になっている。もともとの二階を上下に仕切って、部屋数を無理やり増やしたので、天井は一六五センチの宏海でも、頭をぶつけるかと思うぐらい低い。壁ドンと同じ効果を狙ったのかもしれない。二人掛けのラブソファーは狭すぎて座ると身体が密着しそうだ。一八〇度リクライニングできる仕組みなのは、なかなか意味深だ。ソファーの前には小さなテーブルがあって、ボウルにサービスのポテチが盛ってある。注文した料理は出来上がると専用の小型エレベータで到着するシステムだ。プライバシーに配慮して、監視カメラはないが、防犯上の観点から、室内は暗くはならず、下の一般席の観客が振り返れば、二人が何をしているかはだいたい想像がつく。しかし今日は平日の午前、一般席には誰もいない。ましてシートを倒してしまえば、中で二人が何をしているか、見られることはないだろう。十六室あるカップル席は全部埋まっているようだが、分厚い壁で仕切られているから、隣の様子はわからない。
「走ってきたから暑い。なんか冷たいジュースでも買ってきて」。いきなりパシリ扱いだが、気分が高揚している渇田少年、まったく気にならない。
「アイスコーヒーでも注文しようか?」。渇田少年は注文用のタブレットを指さしたが、宏海は、今は自販機ので十分だという。そして、千円札を渇田少年に手渡して、廊下の一番向こう側の自販機にある、1L容器入りのグアバ飲料を指定した。
話は前日に戻る。田沼をクビにしてから半月、妹の結衣が「わたしがいない間に浮気しないでね」と言い残して新体操の代表合宿に呼ばれて五日目、宏海はオナニーだけでは自分の性欲を処理しきれないと悟った。そこに渇田少年からの誘いだ。他人が聞けば、仲のいい男子高校生同士の、たわいもない会話だったろうが、渇田少年の眼の奥に見えた暗い炎は、宏海への性的欲望、きれいごとでいえば恋の炎に間違いないように思える。振り返れば、渇田少年はいつも宏海の胸ばかりを見ていた。この前の壁ドンの一件もある。渇田少年が何かを仕掛けてきたのは間違いなさそうだ。
しかし、自分の性欲が自分をだましている可能性も無視できない。渇田も、ただの男友達がふいにミニスカで現れても戸惑うだけだろう。まずは男の格好のまま行き、映画の最中に渇田少年をよく観察しよう、そして脈がありそうなら、ゾンビがいきなり登場する場面で、驚いたふりして渇田少年にスガリ付いて反応を見よう。スポブラでも、密着すればFカップの存在感は強烈だ。それでも嫌がらないなら、どこかでスカートに履き替えて食事に行こう、その後は成り行き次第だと宏海は思った。
だが、帰宅途中にあちこちの店に立ち寄って、明日持っていくものを選んでいるうち、宏海は自分が発情モードに入っていて、渇田少年に犯られる気満々なことを自覚した。
まさか渇田少年が、いきなり自分をカップル席に連れ込むとは思っていなかったが、これならいちいち手順を踏む必要はなさそうだ。宏海はジュースがほしいという口実で、渇田少年をいったん部屋から追い出すと、急いでトレーナーとサロペットを脱ぎ、黒のスポブラや余計なタオルを取り去って、白のブラとパンティーに代えた。そして古着屋で一万円だったシンプルなウエディングドレスに着替えたかったが、一緒に買ってきたビスチェやらパニエやら、ガーターベルトやら、セパレートストッキングやら、ベールやら、小物類を取り出すだけで時間を浪費してしまい、何も着れないうちに渇田少年が戻ってきた。どうも廊下を走って往復したようだ。カードキーを置いたままジュースを買いにいったので、ドアのところでもたもたしているが、いつまでも待たせるわけにもいかない。宏海はウエディングドレスはあきらめ、衣装を壁に作り付けのクローゼットに仕舞い込んで、ブラジャーとパンティーの上に、直接サロペットだけを着て渇田少年を出迎えることにした。この格好で、化粧なしのすっぴんでも、そこらのグラドルに負けない自信はある。
ジュースの容器をぶら下げた渇田少年、宏海がドアをなかなか開けてくれないのでやきもきしていたが、ようやく鍵が開くと、サロペットから肩や腕をむき出しにした宏海が立っていた。ジーンズ生地の濃い紺色が、宏海の肌の白さを強調している。扉が開く前に、スマホを構えていて正解だった。
「暑かったからトレーナーは脱いじゃった」と宏海がにっこり笑って斜め後ろに下がった。サロペットの横から丸見えの白いブラジャーがエロい。休み前に見た時よりさらに大きくなっていて、EかFカップはありそうだ。
「ずっと胸ばかり見てるから、感づかれたのはわかってた。これを見たかった?」
もちろんだ。ブラの下も見たい。宏海の横に立って気付いたが、サロペットが2サイズほど大きいから、腰回りの隙間から白いパンティーも覗ける。たまらずキスしようとしたら「まだ早い」と宏海に止められた。
宏海はテーブルにジュースと、リュックから出した紙コップを並べ、さらに二人分のサンドウィッチを取り出した。「昼食代わりと思って、途中で買ってきた」。一瞬、宏海のお手製と期待したが、まぁこれはしょうがない。宏海はグアバジュースを一口飲むと、サンドウィッチを食べ始めた。渇田少年も一口頬張ると、緊張がだいぶ解けたせいか、食べるのをやめられなくなった。
すると宏海がいたずらっぽく微笑んで、サロペットの左のストラップを外して、ブラカップをむき出しにし、上から軽くタッチするだけなら触っていいという。渇田少年は宏海をクルッと後ろ向きにさせ、背後から両手を前に回して、猛然と巨乳を揉み始めた。ブラの外し方がわからないので、ハーフカップの上辺から強引に指を侵入させ、乳首をなぶり回した。宏海はまたグアバジュースを口に含むと、軽く唇を尖らせながら振り向いてキスをせがみ、そのまま口移しに渇田少年の中にジュースを流し込んだ。渇田少年、こんなにうまいジュースは人生初めてだ。お返しに自分もジュースを含んで宏海に口移しすると、全部飲んでくれた。
「あ」と宏海。「何」と渇田少年。「今、イったでしょ」と宏海。宏海の指はいつのまにか、渇田少年のズボンの上から剛直を撫ぜていた。パンツに手を入れて確かめてみたら、たしかに暴発していた。宏海にジュースを飲ませたあと、宏海の舌を吸うのに夢中で、自分ではわからなかったのだ。宏海はキャリーバッグの中を探ると、使い捨てのおしぼりと四枚セットの特売品のパンツを、それも4Lぐらいのデカパンを取り出した。「サイズがわからないから、一番大きいのにした」という。渇田少年は身長一八五センチで体重は九十キロを超している。宏海は慣れた手つきで渇田少年の汚れた肉棒をおしぼりで拭き清めた。「パンツはあと三枚あるから、二回失敗してもいいよ」とやさしいことをいう。リュックの中には、手回しよく、汚れものをしまうジップや消臭スプレーまで入っている。
パンツをはきかえた後、渇田少年は聞かずにはいられなかった。「お前、いつからこういうことしてるの?」
答えは超意外だった。「八歳のころからかな」。
宏海の「初めての男」は、父親の実の長兄、芳作だ。家族で父の実家に帰省するたびに、芳作は宏海を裸にして相撲を取って畳に転がしたり、縄抜けの練習だといって宏海を縛ったりしていたが、嫌ではなかった。いつだったか、荒縄できつく縛られてなかなか抜け出せなかったとき、「かわいらしいのが勃ってるぞ」と直接、愛撫された記憶がある。そして八歳になった夏、納屋の二階でちんぽを含まされた。それ以来三年ほどいたずらされ続け、今やったようなことはすべて芳作に教えられたのだそうだ。純粋なショタらしい芳作は、中学生になった宏海には見向きもしなくなったが、今度は次兄の匡作が、すでに丸坊主だった宏海を後ろ手に縛ると、セミロングのかつらをかぶせ、フェラを強要した。匡作は「おれの嫁は希美と決めているんだが、あいつがやらせないから、うり二つのお前にこんなことさせるんだ。恨むなら母親を恨め」と、まるで自分は被害者のようなことを言いながら宏海の口中に精を放った。匡作は毎年、希美にしつこく付きまとって母を困らせていて、自分が身代わりになれば母を守れる。宏海はそんな思いで被害を誰にも言わなかったのだが、匡作はそれに付け込んで、みんなが襖一枚隔てた隣の座敷にいるような状況でも、宏海に自分の太くてゴツゴツしたものを含ませた。しかし匡作は一昨年、ついにブスの嫁をもらって独立したので、ここ二年、宏海は難を逃れている。本当のところ、祖父母は猫かわいがりしている結衣に匡作が手を出すことを恐れて、無理やり嫁とりさせたようだ。今夏は父の実家から帰宅する直前、ふらっと匡作が現れ、宏海の伸びた髪と、そのためますます希美に似てきた顔、そしてTシャツでは隠せないFカップの胸、希美とおそろいのホットパンツから伸びた足を見て、身体に手を回して物陰に引き入れようとしたが、タカハシ氏が宏海をさっさと車に乗せたので、何もされなかった。
実は宏海が今回、渇田少年の誘いに応じたのは、少年が大柄な上、老け顔で、どことなく芳作や匡作に似ているからだという。芳作や匡作に似た、肉体労働かスポーツマン上がりのおじさん、話を聞いていると、宏海の理想のタイプは、どうも父親と重なってくるのだが…。
宏海の話が呼び起こした性的興奮やら嫉妬やらで欲望に火が付いた渇田少年は、また宏海の背後に回ると乳を揉み始めた。今度は落ち着いてブラを外せたので、思う存分、生乳の感触を楽しめた。ふと思いついて、「あ、そこは…」と抵抗する宏海の手をねじ上げて、サロペットの中に差し入れた手を下に伸ばすと、宏海のちんぽは先走り液でぬるぬるだった。2サイズほど大きいサロペットは、中に差し込んだ手を自由に動かせる。渇田少年は自分がいつもオナニーをしている要領でしごきながら、もう一方の手を尻に回して肛門を愛撫すると、宏海のちんぽはどんどん硬さと大きさを増して、やがて激しく射精した。
渇田少年に強いられた暴発で、下着とサロペットを汚した宏海は「見ないでよ」といいながら、自分でおしぼりをとって、下半身を拭き清めた。そしてクローゼットを開けると、乳首が透けるほど生地が薄いブラに、陰毛がまったくない下半身を申訳程度に隠すパンティー、白のガーターベルトに白のストッキング、スカートを膨らませるパニエ、簡易版のビスチェと身に着けて、最後にウエディングドレスとベールで仕上げて振り返ると、渇田少年、スマホで動画を撮りまくっている。「さっき、もうちょっとゆっくり戻ってきたら、扉を開けたときに、渇田の花嫁になって待っていられたのに」と宏海は拗ねてみせた。
宏海はそのまま渇田少年の前にひざまずくと、ベールを上げて顔を渇田少年の下半身に近づけ、復活したちんぽをぱくっと咥えた。渇田少年、美しい自分の花嫁の奉仕に大感激だ。宏海の巧みなフェラをできるだけ耐えよう、この快楽を可能な限り長く楽しもうと思ったが、射精まで数分しか持たなかった。射精と同時に、夫の威厳を示すため、「飲め」と宏海の頭を自分に押し付けると、宏海は喉奥を直撃する勢いに苦戦したものの、全部こぼさずに飲み込んでくれた。
宏海はマゾ体質で、少々痛めつけると、快感が増すようだ。尻を平手打ちしてやると、ちんぽが硬くなり、うっとりした表情までする。宏海の尻を赤く染めて、渇田少年は征服者の気分に酔っていた。
宏海のお掃除フェラの最中に復活した渇田少年、宏海を四つん這いにさせてパンティーを奪い取り、アヌスを狙ったが「そこはダメ」と拒絶された。しかし、花嫁が初夜に、夫に逆らうなんてありえない。渇田少年はウエディングドレスを引き裂くように脱がせて宏海を裸にすると、敏感な宏海の乳首を吸い、尻を叩いてやり、これまでの男遍歴と、どういう具合に凌辱されたかを自白させた。あのときのイケメン、田沼とのSM行為は、また嫉妬の炎を燃え上がらせたが、同時に寝取りに成功した満足感ももたらした。
渇田少年は愛撫と言葉責めで、宏海の心身をトロトロにとろかせると、右手の中指を第二関節まで宏海の肛門に侵入させて、ピストンを楽しんだ。宏海の尻穴は輪ゴムのように渇田少年の指を締め上げて、ここにちんぽを突っ込んだら、どれほど気持ちいいだろうかと、男の征服本能をくすぐったが、恋愛経験が実質ゼロの渇田少年、「本当に好きな人が現れるときまで、そこの処女はとっておくの」という宏海の切なる願いを踏みにじるまでの勇気はなく、最後はまた宏海に自分の精液をたっぷり飲ませることで満足した。
この四、五時間ほどで宏海は都合六回逝かされ、渇田少年は四回射精した。最初に暴発した分を除き、三回は宏海が完全に飲み込んでいる。二人とも、もうちんぽはピクリともしない。
「渇田、本当に童貞だったのか?」。自分がリードしなければ、と思っていたのに、逆にさんざんにもてあそばれた宏海の疑問はもっともだ。渇田少年は、初めてとは思えないほど、責めがうまかった。
「宏海のために動画と本で、いっぱい予習してきたからさ」。受験エリートのプライドを見せて、渇田少年は当たり前のようにいう。渇田はこの日を夢見て、夏休みの間、寝取りものとニューハーフものの動画を見まくったのだ。だがこの言葉、これまで性の面では奉仕する一方だった宏海の胸にぐっとくるものがあった。一瞬、尻穴の処女を渇田少年に捧げてもいいかなと思ったほどだ。
しかし渇田少年は今撮ったばかりの動画、宏海が尻穴に指を突っ込まれて、アンアン言わされながら、うわ言のように「宏海は渇田さまの性奴隷になります」「でかいおっぱいとちんぽがついた変態JKの身体、いつでも好きに使ってください」と誓う場面を繰り返し再生している。そんな渇田少年に懸念を覚えて、宏海は「きょうのことは二人だけの秘密だよ」と釘を刺した。渇田少年としては、友人たち級友たち全員に(単なる錯覚なのだが)宏海を完全に支配下に置いた、自分のいうことはすべて受け入れる性奴隷に堕したんだと自慢したくてたまらない。これだけかわいらしくて、しかも性技にたけている奴隷だ、もう男女の性別は関係ない。動画を見せたら、みんなうらやましがるだろう、渇田少年の頭の中には、その思いしかなかった。
そのとき、宏海が「次のデートは、遊園地に行きたいな」とせがんできた。
「何を着て行けばいい?」。渇田少年、コートの下に拘束衣だけの姿を想像したが、さすがにそうは言いにくい。
「うちのセーラー服は無理なんだろうなぁ」。わが校のセーラー服はなぜか胸板が省略されていて、襟の合わせ目部分から谷間を覗ける。
「それなら実はもう持ってるんだ」。宏海は古着屋で、学校の女子制服を見つけて買ったのだと説明した。
「土日はバイトなんでしょ。遊園地は平日でも制服で大丈夫かな」。
観覧車の中で、セーラー服姿の宏海を自分の前にひざまずかせて、セーラー服の襟元から手を突っ込んで巨乳をもみながらフェラさせようか。渇田少年の妄想は膨らむ。
だがその前に、きょうこの後、どうするかだ。ここは繁華街と風俗街の境界で、周囲にはカラオケルームやSMルームを備えたラブホがいくつもある。四本立ての映画の終了は四時前だ。コインランドリーで二人の汚れ物を洗濯し、どこかで食事をしても時間はたっぷりある。全裸で隣に横たわっている宏海の乳首を吸いながら、陰嚢をぎゅっと握ると、宏海は痛みと快感の絶妙な組み合わせで悶絶する。渇田少年、まだまだ宏海の身体を味わい尽くせていないなと思った。
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