渇田少年は家が裕福とはいえないため、小学生相手の塾講師のバイトをしている。高校生ながら教え方がうまいと評判で、毎週、土日の4コマで月二十万超と、効率も悪くない。そんなバイト帰りのバスの中から、黄色のふわっとしたミニスカワンピ姿の宏海が、ガタイにいい男と手をつないで歩いているのを見つけた。学校で隠し撮りした宏海の姿と、あのときのDカップをおかずに毎日オナニーしているのだ、間違えるはずがない。妄想の中では宏海は本物の女で、あの時は見られなかった、もっときわどいポーズも取らせている。もっとも女を知らない渇田少年、空想の宏海の肝心の部分はぼんやりしているのだが。
渇田少年は宏海に男がいた衝撃で、バスの車内で崩れそうになった。「目の前が真っ暗になる」という言葉が、ただの例えではなかったことを思い知らされた。思わず停止ボタンを押してしまい、これまで降りたことがないバス停の、誰もいないベンチに座り込んでしまった。泣いている姿を他の乗客に見られたくなかったのだ。しかし少し時間がたつと、必ずしも悪いことばかりではないと思い当たった。これまでは男と男が付き合う、そして愛を交わすことなどできるはずがないとあきらめていたのだが、宏海が男とデートすることに抵抗がないなら、自分にも可能性が開けたということではないか。恋人持ちの女を、いやあのガタイのいい男が恋人かどうかもわからないし、第一、宏海は男だけど、寝取りこそ最高の快楽というではないか。今まで顔を伝っていた涙はいつの間にか引っ込み、代わりに渇田少年の分身から欲望の先走り液がにじみだした。
※元投稿はこちら >>