◎若き宏海の悩み
宏海の胸がはっきり膨らみ始めたのは高二の晩秋、部活の陸上部を引退してからだ。肩や腕の筋肉の脂肪化も進み、身体全体に丸みがついた上、乳輪や乳首もはっきり大きくなってきた。さらに骨盤が徐々に広く浅く変形したので、相対的にウエスト近辺が締まって見える。布地が厚い冬の制服は体形変化を隠してくれたものの、薄着になる春夏の制服なら、いやでも級友たちは女体化現象に気づくだろう。
宏海は小六のころ、急激に太りだして、ちょっとしたアンコ型力士体形になり、一時は「クラス一の巨乳」とからかわれた。心配した母親の希美は、当時は医学部教授だった叔母の祐実の診察を受けさせた。思春期直前の男児にたまにあるホルモンバランスの崩れと診断され、数回のホルモン剤注射を受け、同時に運動で脂肪を筋肉に変えろと指導を受けて、ジョギングを始めたら症状は収まった。
祐実はその後、新薬開発のトラブルに巻き込まれて大学を辞め、大手化粧品会社が設立した、セレブ御用達のアンチエイジング研究所長(兼付属医院長)に転身した。経過観察のため宏海は月一回程度、祐実の研究所で健診を受けていた。今回も強めの男性ホルモン剤を投与すれば女体化は収まりそうと診断されたが、今回は大事な受験前、ホルモン剤の副作用で精神的安定を失っては元も子もない。祐実は本格的な治療は大学進学後に先送りし、とりあえずはサラシを巻いて胸を潰せば、残り少ない高校生活、周囲に身体の異変を気づかれることはないだろうと助言した。
急にヤクザ映画張りのサラシ姿になった宏海は、学校でさすがに目立ちはしたが「医学部合格の願掛け」でみな納得した。というよりも、それぞれが自分の受験勉強で頭がいっぱいで、妙な願掛けをする奴がいっぱいいる、進学校特有の事情から、教師も含めて、宏海のサラシ姿など、成績の昇降に比べればどうでもよかったというのが正しいかもしれない。
しかし、初夏の放課後の教室で、もうだれもいないと思った宏海が、急に苦しくなったサラシをとって、また大きくなった自分の胸を調べている様子を、こっそり覗いていた同級生がいた。宏海と学年ベスト3を争っているうちの一人、渇田だ。つい半年間まで丸坊主だった同級生が、Dカップはあろうかというみごとな巨乳、渇田少年が驚かないはずがない。宏海は、眉骨突起が発達しておらず、顎は華奢、ひげは生えていないしのどぼとけも小さい、つまり中性的というより女性的な顔だちなので、これに巨乳が加わると、もう美少女にしか見えない。だが渇田少年は、体育の着替えなどで何度も宏海の下半身にぶらさがる、標準よりは大きめのちんぽを目撃している。勉強一筋でまだ童貞の渇田少年は混乱し、そして自身はまだ気づいていないが、恋に落ちてしまっていた。
実は宏海の童貞は、中二のとき、祐実が奪ってしまった。治療がうまく行っているか、男性機能に支障はないかの検査をするには、セックスするのが一番手っ取り早かったからだ。関係は健診のたびに続いているが、宏海のちんぽは、父親のタカハシ氏の血が示すごとく、元気すぎる。月一回のセックスで収まるわけがなく、勢いあまって同級生らを次々妊娠させる種馬と化しても困ると、催眠を駆使して、女性としての性的対象を祐実自身と妹の結衣に限定するよう、強固な暗示をかけたぐらいだ。
宏海の秘密を知る人間はもう一人いる。そう、家庭教師の大学院生、田沼だ。田沼は宏海に会ってすぐ、成績の伸び悩みが慢性的な性的抑圧、不満にあることに気付いた。田沼の専攻は心理学、それもいまどき珍しいフロイト学派なので、何もかもセックスに結び付けたがる傾向はあるものの、この分析には自信があった。そこで宏海に講義前に心身をリラックスさせるマッサージをしてあげると誘い、打ち解けるにしたがって、性的ジョークや自分の体験談を話しながら、宏海の下半身に手を伸ばした。初めのうちはさすがに嫌がったが、マッサージを受けるようになってからみるみる成績が伸びたので、積極的に田沼に身をゆだねるようになった。とくに田沼が調教中の人妻の話には興味を示し、2連発3連発の射精も珍しくなかった。自分の母親が凌辱されている状況を、それと知らずに教えられて性的に興奮する美少年、なんとも下手くそなポルノまがいの現実だ。
宏海の乳房が大きくなり始めたのは、このころからだ。祐実との月一セックス、ほぼ毎夜行われる結衣との素股に田沼の絶妙なマッサージ、男性ホルモンが流出過多になってもおかしくはない。
田沼はバイブその他の淫具を持ち込み、宏海の乳房が、さまざまな刺激に感じやすいことを発見した。さらには母親に似て、拘束されるだけで軽い絶頂状態に陥ることも判明した。手足を拘束し、リング状の口輪をつけて、乳首をひねりながらイラマチオさせると、そそり立った宏海のちんぽから精液があふれ出る。Dカップのパイズリからフェラへの移行も最近の定番コースだ。もちろん宏海の処女アナルもイタダクつもりだが、まず宏海に母親の希美を犯させて、その最中に自分が宏海の処女を奪うという鬼畜な案をもて遊んでいる。最近、宏海の衰えぬちんぽをしゃぶってみたい衝動に駆られていることは、まだ宏海に気付かれてはいない。
宏海は六月に入った辺りから、帰宅後や休日はブラをつけ始めた。サラシが暑くてやりきれなくなったからだ。下も男物のパンツから、尻の割れ目が見えるかみえないかぐらいのハーフバックのパンティーに変えた。ビキニも試したが、イチモツを覆いきれなくて零れ落ちてしまう。上着は、厚手のタオル地のロンTに、大き目のジーンズのサロペットを愛用している。サロペットは胸板の記事がDカップの乳房の存在をかなり隠してくれるので、街で偶然級友たちに出会っても、あまり違和感は感じさせない。ただ、宏海を男とは知らない他人には、マニッシュな服装を好む女の子と誤解される可能性もあるわけで、事実、これまで何度か、電車やバスの中で、ぶかぶかなサロペットの腰回りの隙間から手を突っ込んで尻やあそこを触ろうとする男が現れた。手を突っ込んできた瞬間に指を逆に曲げてやったら全員退散したが、そのうちの二人ぐらいは指を折った感触があった。
いよいよ暑くなってくるとミニスカにも手を出すことになった。いったん「女装」を体験したら、抵抗感はどんどん下がってくる。服は主に古着屋の格安コーナーで探すので、座ったら確実にパンツが見えるミニスカや、スケスケのワンピースがたくさん集まった。流行の服はそれなりの値段だし、基本、布地の量と価格は比例するから、安さ優先の選択では、そこのところに文句は言えない。むしろ、本当に誰か着ていたのかと思うような露出度の高い服、どうやって着るかもわからない奇抜なデザインの服が、こんなにあることが不思議なぐらいだ。宏海は女装に慣れてくると、濃い目の大きなサングラスで顔を隠して、街中を出歩くようにもなった。ナンパや痴漢除けで田沼を付き添わせているので、目撃した田沼の研究仲間は「あいつは売れないグラドルと付き合ってる」と噂しているようだ。
渇田少年は家が裕福とはいえないため、小学生相手の塾講師のバイトをしている。高校生ながら教え方がうまいと評判で、毎週、土日の4コマで月二十万超と、効率も悪くない。そんなバイト帰りのバスの中から、黄色のふわっとしたミニスカワンピ姿の宏海が、ガタイにいい男と手をつないで歩いているのを見つけた。学校で隠し撮りした宏海の姿と、あのときのDカップをおかずに毎日オナニーしているのだ、間違えるはずがない。妄想の中では宏海は本物の女で、あの時は見られなかった、もっときわどいポーズも取らせている。もっとも女を知らない渇田少年、空想の宏海の肝心の部分はぼんやりしているのだが。
渇田少年は宏海に男がいた衝撃で、バスの車内で崩れそうになった。「目の前が真っ暗になる」という言葉が、ただの例えではなかったことを思い知らされた。思わず停止ボタンを押してしまい、これまで降りたことがないバス停の、誰もいないベンチに座り込んでしまった。泣いている姿をほかの乗客に見られたくなかったのだ。しかし少し時間がたつと、必ずしも悪いことばかりではないと思い当たった。これまでは男と男が付き合う、そして愛を交わすことなどできるはずがないとあきらめていたのだが、宏海が男とデートすることに抵抗がないなら、自分にも可能性が開けたということではないか。恋人持ちの女を、いやあのガタイのいい男が恋人かどうかもわからないし、第一宏海は男だけど、寝取りこそ最高の快楽というではないか。今まで顔を伝っていた涙はいつの間にか引っ込み、代わりに渇田少年の分身から欲望の先走り液がにじみだした。
祐実はいら立ちが収まらなかった。製造開始直前だった新しいアンチエイジングクリームの販売に、親会社のコンプライアンス部門からストップが掛かったのだ。新製品は効果がありすぎるので、医薬品に分類されるべきだと主張する一派が現れたのだ。医薬品となれば安全性審査にまた長い時間がかかるし、その過程でアンチエイジング効果の秘密が漏れる可能性が高い。そもそも安全性は若さを求めるセレブ婆ぁたち、そしてなにより祐実自身を対象にした人体実験で確認済みだ。祐実は、いわゆるアラカンだが、一見したところでは希美と変わらないか、調子が良ければ若く見られるほどだ。もしかしたら会社としては、このクリームを今まで通りセレブ層に超高価格で売ると同時に、恩やコネも押し付けるほうが、結果的に有利だと考えたのかも知れない。
堂々巡りの会議の途中で、筆頭格の女性秘書が戸惑った様子で宏海の来訪を告げた。そういえば定期健診の日だが、優先されるべきは会議であり、途中でわざわざ連絡してくることでもない。過去には同じような状況が何度もあったが、そのときは秘書たちは宏海を適当な部屋に案内して、待たせている。怒りが沸点に近づいていた祐実は、思わず大声で秘書を叱り付けてしまった。
結論が出ないまま会議を終えたのは三十分ぐらい後だったろうか。終わったというよりは、秘書を叱る祐実の剣幕に、会社側の人間が恐れをなして撤退した感が強い。そうなると、あの女性秘書はわが身を犠牲にした功労者になるかも知れず、すぐにも褒める機会をつくらねば、そう考えながら祐実が診察室のドアを開けると、そこには髪をショートにした、十代のころの希美がいた。
そんなわけはない。よく見れば座っているのは女装した宏海だった。これでは秘書が驚いて会議室に走りこんできたのも無理はない。「どうしたの。その恰好…」。宏海がこの暑さでは、もうサラシを巻くのは耐えられないこと、ブラに変えたら上も女物にならざるを得ないことを話し、休日はほぼこの恰好で過ごしていると説明した。祐実は自分の診断が自信過剰で、手をこまぬいているうちに宏海は心まで女性化してしまったのではないか、心配になった。急いで宏海を裸にすると、想定以上に成長した胸に軽い驚きを覚え、以前と変わらずソソリ立ったペニスを見て安心した。そのまま宏海を押し倒して騎乗位で挿入し、これまでのいら立ちのすべてをぶつけるように腰を振った。宏海の乳房をわしづかみにすると、宏海の身体はブリッジをするように何度も反り返って、祐実の膣奥まで若い精液を噴出する。これまでにない反応がおもしろく、これはこれでありかな、と祐実は思った。
きょうの宏海の主な相談は、夏休み中の受験対策泊まり込みセミナーに行くべきかどうか、だった。全国規模の大型予備校主催のセミナーなので、今の自分の実力を知るにはいい機会だが、日程が七日間もあり、費用も高額な上、Dカップをどう誤魔化すか、思いつかないのだ。祐実は同じ高校からの参加者はまずいないことを確かめたうえで「女の子の恰好で行きなさいよ」と簡単に言い放った。セミナーはホテル借り上げで、今時、雑魚寝では、客は集まらないから、参加者はそれぞれ個室に泊まる。個人情報だ性差別だナンだと小うるさい時代なので、申し込み書に性別の欄はない。個室のタイプと食事の選択(アレルギーや宗教上の禁忌対応)で料金に違いがあるから、目立つのはそこの部分だ。「ひろみ」は男女共通の名だから、参加者が男でも女でも不思議はない。たまっていたうっぷんを宏海の身体で解消した祐実は機嫌よく、費用の全額を負担することにし、一番高いランクの部屋を取れといった。
※元投稿はこちら >>