リラクゼーションサロンの恥罠39
博美は今、ベッドの上ですやすやと眠っている。
彼女は持ち前の責任感から、いつも表情の何処かに緊張感を漂わせている。
若しくは、未知子との屈託の無い間柄を頼んで、弾ける様な笑顔で周囲を笑いに包み込む。
だが此処に居る彼女は束の間の安らぎを得て、全てのプレッシャーから解き放たれて、少女の様な可愛い寝顔で夢を見ている様である。
彼女は未知子と組んで、一体どれ程の数の重症患者を死の淵から救い上げて来たのか。
彼には想像を絶する世界であった。
博美「んっ!?、ふぅ~ん・・・はぁ?・・・んっ!」
彼女は自分の顔を覗き込む彼の顔に少し驚いた。
そして、彼に聞く。
博美「えっ?、・・どうしたの?」
「宏さん?」
彼は、彼女の言葉に続けて話始める。
宏「博美さん・・・」
「もし、僕が大きな病気に掛かったら」
「未知子さんと一緒になって、治療をお願いします」
博美「なに?、いきなり・・(笑)」
彼女は、彼の真剣な表情に戸惑って、笑って誤魔化す。
だが、いつもとは違う彼の雰囲気に姿勢を正した。
博美「えっと、・・ごめんなさい!」
「だって、いきなりなんだもん!」
宏「あぁ!(笑)」
「僕も、いきなりでごめん!」
彼は二人を最高の医師としてリスペクトをしたかった。
その、不器用な表現に彼自身が苦笑した。
彼女も彼の云わんとする事柄は理解出来ていた。
ただ、そのストレートな表現に、チョットだけ悪戯心が芽生えてしまった。
博美「ウチの報酬はべら棒に高いわよ!!」
宏「ええっ?・・やっぱり?」
博美「アキラさんは容赦無いから!」
彼はアキラ氏の容貌を思い出して、より真実味を感じていた。
宏「因みに、悪性のガンを患ってしまったら・・」
「如何程に?」
彼は彼女へ真剣に質問する。
重病からの生還に、どれだけの対価が必要なのか?
彼は本当に不安になって来た。
すると彼女は自分のバッグからメモ帳を取り出して、すらすらと金額を書いて行く。
そして、その数字を彼に見せた。
宏「まさか!!」
「えええ~~!!?」
「本当に!!?」
博美「うんっ!」
「因みに相手がアキラさんのお眼鏡に適わなかった場合・・」
彼は彼女の示した金額に驚愕する。
宏「・・・こっ、これって・・・?」
彼は何度もゼロの数を数え直して黙ってしまった。
○○名医紹介所とは悪魔の巣窟なのか?
彼には到底、理解出来なかった。
博美「あっ!そうそう!!」
「宏さんは大丈夫!」
「アキラさんも、鬼じゃ無いから」
宏「おっ、鬼!!?」
彼は悪魔だと思っていたが、本当は鬼の集まりなのか?
博美「ちゃ~んと、お友達価格で対応をしてくれるから!」
「ねっ!」
「安心して!」
ねっ!って云われても彼には信用出来なかった。
宏「あの~?・・・」
「度々で申し訳ないんですが・・」
「如何程まで、ディスカウントが可能なんでしょうか?」
博美「う~ん?」
「テン、パーくらい?」
宏「たっ、たった一割・・・」
彼は地獄の底へ突き落された気がした。
顔面蒼白になった彼を見て、彼女が慌てて訂正をする。
博美「え~っと、え~と、じゅうごパー・・・かな?」
宏「それでも・・15パーセント・・・」
博美「うそうそ!!(笑)」
「宏さんからお金を取る訳にはいかないよ~!!」
宏「ええっ?(目がキラキラ!)」
「ありがとう!!博美さんっ!!」
彼は眼を輝かせて、彼女の手を取ってお礼を云う。
彼女は目を点にして、案外安い男だなっと思った。
※元投稿はこちら >>