リラクゼーションサロンの恥罠36
宏「妊娠?!!」
「赤ちゃんが出来たの?・・・」
博美「うん!」
「昨日、クリニックに行って来たの」
「そしたら、おめでただって!」
彼の気持ちは複雑であった。
これで二人の子供の親となる。
そして、彼女ともお別れである。
この半年間程は本当に目まぐるしかった。
宏「おめでとう!!」
「とうとう二人目の子のママになるんだね」
博美「本当にありがとう!」
「これも全て、宏さんのお蔭です」
彼女は彼の寂し気な顔色が気になった。
彼には、この数か月の間に大変な苦労を掛けた。
全ては自分自身の我儘の為に。
彼女は彼に聞いた。
博美「宏さん・・・」
「私、貴方にお礼がしたいんだけど」
「何が良いかな?」
宏「お礼?」
彼は、礼が欲しいが為に彼女に協力をした訳では無い。
唯一心残りなのは彼女との愛の交わりが、いきなり終わってしまった事位である。
彼は彼女へ、正直に自分の気持ちを伝えた。
宏「もう、君とは繋がりが無くなってしまうんだね」
「最初から分かっていた事だけれど・・」
「(だから最後にもう一回だけ、とことんやらせて!)」
彼は流石に最後の部分は口に出せなかったが、彼女がちゃんと見抜いて反応した。
博美「宏さん、今、エッチな事考えてたでしょ?」
彼は図星を突かれ、ドキッとした。
博美「ごめん!うそうそ!!」
「本当は私の方が貴方に伝えたい事があって・・」
彼女は、お腹の辺りを手で押さえて、彼に云った。
博美「私のお腹・・気になってたでしょ?」
彼女はジーンズからシャツを引き抜いて、ボタンを外してお腹をさらけ出す。
そこには肌色のテープが何枚か貼ってあった。
宏「博美さん・・それって・・」
博美「ええ!・・これ、手術痕なの」
「貴方に本当の私を見て欲しかった・・・」
彼女は、ぺりぺりとテープを剥がして行く。
そして、そこには大きな傷痕が有った。
一目見ただけで大変な手術であった事が分かる。
彼女は生死の境を彷徨った経験が有ったのだ。
博美「ひどいでしょ?」
「この傷痕?」
宏「博美さん・・・」
博美「私、・・この痕・・」
「これ、進行性膵癌、ステージ4・・」
「出門さんが居なかったら、私、今ここに居なかったかもしれない!」
「だけど・・・貴方には見せられなかった・・・」
「これを見て、もし貴方が萎えちゃったら・・・」
彼女には切実な問題であった。
宏には起っていて貰う必要が有った。
彼女の切羽詰まった事情を、彼は知らなかった。
博美「はい!、お終~い!!」
彼女が作り笑いをしながらシャツを元に戻そうとすると、彼がそれを制した。
博美「えっ?、えっ?、なに?」
彼は彼女の傷痕に顔を寄せて、頬を着ける。
そして彼女に向けて言った。
宏「ごめん!!」
「君の本当の辛さを・・」
「僕は知らなかった・・」
彼女は病気が再発するかもしれない恐怖と闘いながら、リスクの高い妊娠を選択して、更には笑顔で自分に対峙してくれていた。
彼には頭が下がる思いであった。
宏「博美さ、ん・・・」
彼は無意識に近い状態で彼女の傷痕に口づけをした。
博美「はぁっ!、ふっ!ふっ!、んんっ!」
彼の突然の行為に彼女は戸惑った。
彼と別れるつもりで見せた傷痕であった。
だが彼は、猫が傷を舐めて治す様に、一途に傷痕を舐めて行く。
ぺろぺろと愛おしそうに。
博美「宏さ、ん・・」
「そんな、こと・・しないで・・」
彼は聞く耳を持たない。
只ひたすらに傷を舐めて、彼女の心を癒して行く。
彼自身が納得するまで、その行為は終わらなかった。
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