リラクゼーションサロンの恥罠28
或る日の紹介所での風景。
マージャン卓をアキラ氏と二人で囲んで、残りの面子を待っている彼女が話の口火を切った。
博美「ねえ、アキラさん?」
「アキラさんって、子供は嫌いじゃ無いよね?」
アキラ「えっ?、何、いきなり・・」
博美「いや、だってマイの時も良くしてくれたし・・」
アキラ「そりゃあ、ウチの大事な戦力の娘だしねぇ~」
博美「出門さんの赤ちゃんも生まれて来る事だし」
「もう一人増えても大丈夫よね?」
アキラ「ええっ?何、博美!」
「あんた、まさか?」
博美「あ、いや、まだ妊娠してる訳では無いんだけれど・・」
彼女は正直に今の状況をアキラ氏に伝えた。
その話を聞いた彼は
アキラ「あんた、いい加減にしなさい!」
「どこの世界に、同僚二人で種馬を共用しようなんて話が有るの?」
博美「種馬?」
「動物扱いなんて酷~い!!」
「此処でもマタハラなの?」
マタニティーハラスメントと聞いては、彼の沽券に関わる。
彼は彼女を諭す様に抗議をする。
アキラ「そんな事を云ってるんじゃないの!」
「勢いだけでそんな事を思い付いて、生活はどうするの?」
博美「私、もっと仕事、頑張ります!」
アキラ「子供の面倒は?」
博美「そこんところをアキラさんに何とか!」
アキラ「冗談じゃないわよ!」
「只でさえ、未知子が出産するって時に!」
博美「だからもう一人!」
「お願い!お願いします」
「私、どうしても男の子が欲しいの!」
アキラ「男の子?」
彼女には娘が居た。
その娘は、夢を追って海外に出掛けている。
彼女は心の支えが欲しかった。
娘を支援するだけでは無く、誰かに精神的に寄り添いたかった。
彼にも、その気持ちは痛い程分かっていた。
長い付き合いである。
彼女の性格と離婚した経験上、単純に男に頼るのだけは避けたい筈である。
彼は暫く考えていたが、答えは出ない。
彼は彼女に言った。
アキラ「二人目の子供だなんて」
「大変よ!分かってるの?」
博美「うんっ!」
「覚悟は出来てる!」
アキラ「誰も助けてなんて、くれないわよ!」
博美「はい!アキラさんは優しいし・・」
アキラ「はぁ?」
「良く言うわ!この子!」
博美「シングルマザーに冷たい仕打ちなんて、出来っこない人だもん!」
アキラ「買いかぶり過ぎよ!」
博美「お願いします!!」
「仕事、沢山こなしますから!!」
彼女の決意に嘘は無い事など、彼には最初から分かっていた。
だが決定的に克服すべき難問が存在する。
彼は彼女に問うた。
アキラ「どうでもいいけど博美・・」
「どうやって男の子を産み分けるの?」
博美「それは・・・」
彼女にも確証は無かった。
ただ一般的な対処法は存在するが。
それとて確証は得られない。
アキラ「もし女の子が産まれて来ても、ちゃんと愛せるのね?」
博美「はい!」
「勿論です!」
アキラ「ならいいわ!」
「好きにしなさい!」
博美「ほんとうに?」
「アキラさん!!、大好き!!」
彼女は彼に抱き着いて感謝した。
彼は、やれやれと思うしかなかった。
話は一歩、前進した。
※元投稿はこちら >>