リラクゼーションサロンの恥罠26
宏「あのぅ、堀之内さん?」
「あの方とは、どの様な御関係で?・・」
堀之内「えっ?」
「あっ!、まあ、その・・」
「なんと申しましょうか・・」
「おほほほぉ~!(笑)」
彼女は笑って誤魔化すしかなかった。
だが不思議がる彼を見て、良心の呵責から本当の事を喋らずには居られなかった。
堀之内「あの~、私・・」
「出門さんの為に・・偵察に来ていたんです・・」
「すみません!」
宏「てっ、偵察?」
堀之内「そうです・・」
「あの人は、私のマネージメントもしてくれてます」
宏「!・・・・・!」
堀之内「どっ、どうしたんですか?」
宏「ふっ、・・くくっ!・・」
彼は腹を抱えて、笑いを堪えている。
堀之内「なっ!、なにっ!」
宏「くくくっ!ははっ!(笑)」
とうとう、堪え切れなくなった彼は笑い出してしまった。
堀之内「なんですか!!一体全体?!」
「失礼なっ!!(怒)」
宏「ごっ、ごめんなさい!(大笑)」
堀之内「いい加減にして下さい!!(怒)」
宏「ホントに、・・・すみません!(笑)」
彼が笑い出すのも無理はなかった。
未知子を先頭に、関わって居る全ての人達が真剣で個性的過ぎた。
彼は或る意味この様な凄いキャラの人達に、纏めて出会った事が無かった。
堀之内「貴方!!」
「私たちを馬鹿にして居るんですか?!!(怒、更に怒)」
彼は、またまた真剣に怒って抗議する彼女に対して焦った。
宏「すみません!(謝)」
「笑ったりして、申し訳ございませんでした!(更に謝)」
彼は真剣に謝ってはいるが、まだ笑いを堪えて居る様にも見える。
堀之内「ふざけないで!!(極怒)」
彼女は怒り心頭に達して、わざわざ来院したのに帰ってしまった。
宏「堀之内さん!!」
彼は必死に呼び止めたが彼女は聞く耳を持たなかった。
彼は激しく後悔した。
自宅に戻った彼女は、抑えていた涙が止まらない。
次から次へと溢れて来る。
彼への怒りと自分自身の不甲斐なさに。
堀之内「わたし・・・」
「とんでもないこと、・・しちゃった・・」
「どうしよう?」
彼女も激しく後悔した。
よくよく考えてみれば、自分たちの様な人種の方が特殊である。
その事実をいきなり彼にぶつけて、直ぐに理解せよとは、甚だ自分勝手な考えである。
だが彼に啖呵を切って帰ってしまった以上、自分から彼に謝るきっかけが無い。
堀之内「何でこんな事になっちゃったの?」
「そもそも、何でこんなに哀しいのよ?!!」
彼女の感情は彼女自身にも分からなかった。
それから彼女は鬱々とした日々を過ごしていた。
アキラ「あら?博美?」
「どうしたの?」
「身体の具合、悪いの?」
「ちょっと診てあげようかしら?」
博美「いいの!」
「放っといて!」
彼はマージャン卓を囲んで、様子がおかしい彼女を心配する。
「みっちゃんが居なくなってカモが一人減ったからね~!」
紹介所の同僚が彼女を囃し立てる。
すると彼女が同僚を鋭く睨み付ける。
「おお~怖!」
「くわばら、くわばら!」
同僚は、取り敢えず黙って置く事にした。
だがアキラ氏は、それを見逃さなかった。
彼は後々、彼女から何かを聞き出さねばならないと思った。
そんなアキラ氏の心配を他所に、彼女は心にぽっかりと穴を開けたまま毎日を過ごして行く。
すると或る日、彼、宏からメールが届く。
彼女へのお誘いのメールであった。
宏(ご無沙汰しております)
(この度、新しいアロマオイルが手に入りました!)
(どうぞ、お試しにご来店ください)
(お待ちしております!)
彼女の眼に、お待ちしておりますの文字が飛び込んで来た。
彼女は飛び上がる程、嬉しかった。
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