リラクゼーションサロンの恥罠20
午後5時を廻って病院の業務はひと段落が付く。
いつもは直ぐに着替えて帰ってしまう未知子であったが、今日は、まだデスクワークをしている。
そんな彼女に違和感を持った同僚医師が、揃って何気に囃し立てて来る。
「出門先生、今日は残業ですか~?」
彼女は、ゆっくりと振り返ってガンを飛ばすと、彼らは一目散に逃げだした。
顔を元に戻した彼女は、一人にっこりとする。
そして彼女は手洗いへと繰り出した。
鏡を前に洗顔して、ナチュラルメークを直して行く。
更に、髪を綺麗に梳かして、更衣室でシャツを着替える。
仕事をしながら医局で時計を見上げる彼女は、患者の夕食が終わった頃を見計らって部屋を後にする。
向かう場所は彼の個室であった。
彼女は、ノックをしてドアを開ける。
未知子「こんばんわ~」
「宜しいでしょうか?」
宏「ああ!未知子さん!」
「こんばんは!」
「えっと、こんな時刻にどうしたんです?」
未知子「うんっ!ちょっとね」
「検査の結果を教えてあげよっかなぁ~ってね!」
宏「あぁ!」
「で、どうでしたか?」
「何処か、悪いとこでも?」
未知子「ううん!全然、オッケーだよ!」
宏「そうですか!よかった~!」
「実は結構、びびってたんです」
「結果が悪かったら、どうしようって!」
未知子「取り敢えず今日のところは大丈夫!」
「悪い数字も無いし、明日も多分、問題無いわ」
彼と彼女は、笑い合いながら世間話を続けて行く。
すると彼女は思い出した様に彼に問い掛けた。
未知子「そう云えば宏さん・・」
「この間の、ウチのマネージャーからの手紙」
「どんな内容だったの?」
彼は彼女の問いに、苦笑しながら答えた。
宏「あぁ、あれ?」
「あれは・・・」
未知子「あれは?」
宏「一種の契約書みたいな物だったよ」
未知子「契約書?」
彼に届いたアキラマネからの書状は、確かに契約書であった。
彼と彼女が契りを結んで、彼女が出産した後の事柄であった。
宏「マネージャーさん、知ってたんだ?」
未知子「うん、あの人、勘が鋭いから」
「途中で、喋っちゃった!」
「ええ~?でも、 何でアキラさんが?」
内容は数か条に分かれていた。
彼と彼女は、それぞれが基本的に、子供に関して互いに不可侵で公平に対処して欲しい旨の要旨であった。
未知子「それって?」
親権を彼女に渡す以外は、全てが不可侵公平。
養育費やリスクなどを含む財産に関しても、互いに指一本触れない様にする。
要するに互いに自己責任で行動しろと云うものであった。
そして最後に一つだけお願いがあった。
彼に認知をして欲しいと。
それはマネージャーでは無く、アキラ氏の親心でもあった。
未知子「アキラ・・・さん・・」
彼女は感激で眼が潤んで来た。
仕事上のパートナーと云う関係以上の愛を感じていた。
宏「いい人だね、マネージャーさんって」
未知子「うんっ!」
「私の師匠だから!」
彼と彼女の距離は次第に縮まって行く。
彼女は眼を瞑り顎を上げる。
その唇に彼の唇が重なって行く。
彼と彼女は、きつく抱き合って舌を絡ませて、お互いの唾液を交換して行く。
もう誰も、彼女らの行く手を阻む事は出来なかった。
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