母は、僕との距離を取り続けた。僕が朝起きてくればキッチンに、テーブルに食事を置けばキッチンに、風呂をあがれば父のいる寝室に逃げ込んだ。
僕とは仕事以外では、しばらく関わりたくないようだ。『もう、あんなことしないで!』と母は思っているはず。しかし、僕にはそれは言わなかった。
我が家では、そういうHな会話は昔から御法度。テレビがそういうシーンになればチャンネルを変える、そんな家庭だったのだ。
母にとってみれば、『父以外の男に逝かされてしまった。』と言う事実だけが頭にあり、それが僕だというのはまた別の話なのだ。
父に申し訳ないから。家庭に申し訳ないから。だから、『自分が我慢をすれば。』とその事実を隠すように口をつぐんでしまい、家庭では語らなかったのだ。
しかし、僕の方は違った。母が何も言ってこないのをいいことに、『まだいける。もう少しいける。』と考えていたのだ。
一週間くらいが経った。少しずつだが、母との会話も出来るようになり、平穏を取り戻したようにも感じた。しかし、そう思うのは母だけ。
母が風呂に入れば、何度もドアの前に立った。押し入ろうと、ズボンを脱ぎ捨て、全裸になったこともあった。しかし、最後の一歩が出ずに未遂で終わった。
そして…。その日も、夜に母が風呂に消えた。僕は急いで扉の前に立ち、全裸になる。そして、今日はゆっくりとノブを回す。
そうなのだ。僕なりにだが、毎日毎日一歩ずつ進んでいたのだ。一歩ずつ進んで、今日はドアを開くことが目標だったのだ。
扉を開くと、化粧ガラス越しに母の姿が見えた。こちらを向いてイスに座り、タオルで身体を擦っているシルエットだった。
ガラス越しにでも、母の肌に目が止まってしまう。そして、ボヤけてはいるが股間は真っ黒な陰毛を感じさせました。
洗濯機の上に置かれたカゴには、先に僕の脱いだ服の上から、母の脱いだと思われるショーツやブラが乗せられていました。
今日は、ここまでのはずでした。風呂の扉を開けて、中を覗くのが目的だったのです。ところが、いつも躊躇する最後の一歩が、出てしまったのです。
風呂の中で身体を洗う、母の動きが止まりました。手が完全に止まったのが、シルエットで分かります。母も同じでした。
突然、目の前に裸の男のシルエットが現れたのです。普段であれば、『なぁ~に~?』と声を掛けてきたはずです。
しかし、今日は違いました。全裸の男がいるのですから。『ちょっとぉ~!』と声を出して立ち上がり、向こうから手で風呂の扉を押さえつけたのです。
見つかることを想定していなかった僕です。見つかったことに動揺し、母が入られないように扉を押さえつけたことに疑問も感じます。
『見つかる予定でなかった。』『入る気はない。』『何を勘違いしてるのか。』とそこまでは冷静だったのです。
しかし、気がつけばドアノブを持ち、母のいるお風呂の方に押し返していました。『いかん!ダメよ!』と中の母が言います。
押し合いは一瞬でした。ガラスが割れることを心配した母が、すぐに諦めたからです。
『何をする気なんよ!!』、母はもう、前を隠そうともせずに僕に向き合い、仁王立ちをしました。『ここは譲れない。』と思ったのでしょう。
『何をする気なんよ!言ってみぃ~!!』と僕に聞きました。母親の顔でした。その顔は、子供の僕を叱りつける母親の顔をしていました。
僕の返事を待ち続ける母。僕は下を向いて、返事を考えていました。直視するわけでもないのに、母の胸と股間の陰毛を何度も目が行ったり来たりしています。
母への返事を考えていました。でも、次第に何年かぶりに見た胸に興味は移っていきます。『こんな胸してたんだぁ。』とそんなことばかり考えしまいます。
ブラさえ、見せたことのないははです。それはもう、何十年も服に隠されていた乳房でした。ごく普通の大きさの乳房も、小さい母が持つと大きく見えます。
『どうするつもりなんよ!ハッキリ言わんと分からんでしょ!』と追い討ちを掛けられました。そう言われると息子です。母には敵わないのです。
母は、僕を落としに掛かりました。『もぉ~、しっかりしよ!あんたらしくないよぉ?』とやさしく声をかけ始めたのです。
しかし、ここで母が躊躇を見せたのです。それは、ご近所に対して、これ以上の声は出せないと言う顔でした。
風呂が外壁に面しているので、『これ以上の大声、これ以上の会話はしたくはない。』。つまり母も、もう手はないのでした。
『さしてよ…。』、ようやく言えました。母の躊躇が、僕を強気にさせてくれたのです。
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