「・・お、おい、ヤバくないか・・?」
「あ、あぁ。死んじゃいねぇよ・・な?」
繰り返し絶頂の寸前を迎え続け、限界まで消耗したヤヨイが、精液にまみれた躯を床に横たえている、その光景が彼らの理性をリセットしたのだろうか。
自分達の行為が何を意味するのかを唐突に理解した二人組は、慌てふためき始めた。
ぴくり・・
少なくとも死んではいないらしい。
今、現在のところには過ぎないが、そう判断した男達は、互いに顔を見合わせると無言のうちに意思統一に至る。
股間の精液を拭いすらせず、慌ただしくズボンを穿き、その場を逃げるように去っていく。
ふふん・・。
哀しいことに、ヤヨイには二人の男達を嘲笑する余裕さえあった。
不本意にも見知らぬ複数の男達に性交を強要されてしまった。
その事実は強姦であり輪姦ではあるが、ヤヨイにとっての真実は違う。
始まる前に受け入れてしまったのだ。
受け入れてしまった以上、ヤヨイにとってはプレイに過ぎない。
強姦でもなければ、輪姦でもなかった。
プレイ?
理由はどうあれ、尊厳を踏み躙られる行為が?
それは許されない筈の行為ではないのか?
だが所詮、自分は娼婦なのだ。
自問自答しながらも、身体を起こしたヤヨイは下腹部の痛みに顔を歪めた。
皮肉な事に痛みがヤヨイに理性を取り戻らさせていく。
ああ、そうか・・。
家畜、だ。
家畜に過ぎないのだ・・・・。
どんなに大切にされていても、それは資産としてケアされている家畜としての扱いに過ぎないのだ。
食欲を満たす為の肉なのか、性欲を満たす為の肉なのかの違いに過ぎない。
ヤヨイは不意に笑い出した。
笑うだけではない。
笑いながら両眼から溢れ出す涙。
笑いながら泣く。
泣きながら笑う。
『耐えられないなって・・。』
かつて私に告げた言葉がリフレインしたらしい。
失笑。
失笑・・。
失笑・・・。
牛や豚が権利を主張することは有り得なかった。
屠殺されることは前提なのだ、手紙に記されていたのはそこまでであった。
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