「あ、や。恥ずかしい・・。」
「恥ずかしい?まさか濡らしてるの・・?」
そこは数十メートル先にある複合商業施設にある家電コーナー。
映画館から退散した私は、ヤヨイから露出プレイの手解きを受けていた。
身体を拭く為、私とヤヨイはユニバーサルデザインのトイレに二人一緒に籠もり、ヤヨイの準備していたウェットティッシュを使う。
だが問題がひとつ。
そもそも下着を付けていなかったヤヨイはともかく、私は替えの下着を持っていなかった。
「・・試してみる・・?」
「え?」
「・・あたしも付き合うから・・・。」
その日、私は紺色のポロシャツに膝丈のスカートを合わせていた。
しかもスカートはフロント部分をボタンで留めるタイプで、その気になればフルオープンが可能なデザインだ。
汚してしまった下着はともかく、キャミソールとブラジャーまで取り上げられた私は、心細い事この上ない。
斯くして私は、産まれて初めての野外露出行為を経験する羽目に陥いっていた。
すれ違う歩行者の全員が、私が下着を付けていないことを知っているかのような錯覚に襲われる。
常に周囲の視線を意識しつつ、階段、エスカレーター等の下方から無数の視線を感じてしまう。
ぴくり
時々、ヤヨイが私の躯に軽く触れると、過剰なまでに反応してしまう。
決して性的な意味合いの触れ方ではない。
腰に、肩に、背中に軽く触れられるだけだというにも関わらず、私は更に潤っていく。
面積が広い割には、人影が少ない白物家電コーナーを私達は無目的に彷徨い続ける。
大型冷蔵庫が並ぶコーナーにある死角の位置でヤヨイは足を止めると、意地の悪い笑みを浮かべながら私の正面に立つ。
その距離は三十センチ程。
ゆっくりと持ち上げられたヤヨイの右手が、私の胸に近づいてくる。
既に固く尖がった乳首に触れようというのだろうか。
そんなこと・・・
こんな場所で・・・
誰かに見られたら・・・
声を漏らしてしまったら・・・
逃げなければならない。
ヤヨイの手を避けなければ、もしくは掴んででも止めなければならない。
だが私は身動きひとつ出来なかった、いや、しなかったのだ。
今にもヤヨイの手が触れる、そう思った私は思わず眼を閉じる。
触れられた瞬間、声を漏らしてしまうという確信が私にはあった。
触れられる部位がどこであっても、だ。
触れてしまう、触れてしまう、触れてしまう、触れて欲しい、触れて欲しい・・早く・・早く・・・
「・・・・・?」
何も起こらぬうちに数秒が過ぎた頃、くすくすと笑うヤヨイの声が私の耳に届く。
恐る恐る眼を開いた私の視界に入ってきたのは、肩を揺らして笑うヤヨイの姿であった。
酷い話だ。
憤然として抗議するが、ヤヨイは取り合ってくれない。
「想像力って凄いでしょ・・・。」
サラリと言って退けたヤヨイは、肩から下げたトートバッグからティッシュを取り出すと、腰を屈めて手を伸ばす。
「・・垂れてる・・。お漏らししちゃった?」
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