「・・軽蔑・・する?」
快感の嵐が過ぎ去り、余韻を味わうかのように時折、躯を震わせていたヤヨイが、眼を閉じたまま呟いた。
「そんな・・。」
軽蔑こそしないものの、驚いたのは事実だ。
私が物問いたげな顔をしていたのだろう、ヤヨイは立ちあがりながらポツリポツリと語り始める。
次の上映に備え、映画館のスタッフが見回りと清掃を開始した。
話の内容が内容なだけに、ここでは長く話せない。
「トイレ、行きたい・・。」
身体を拭きたいのだという。
あれだけ汗をかき、乱れたのだから無理もない。
尻の下に敷いていたバスタオルの中心部は、粘りのある液体が付着して糸を引いていた。
「・・サツキもでしょ?」
「え?」
「だってサツキの・・匂い・・凄い・・。」
ぎくり。
バレている。
実は乱れるヤヨイの姿を見守っていたに過ぎないのだが、下着の替えが必要な程に潤っているのだ。
だが匂いがする程、いや、そんな馬鹿な。
思わずスカートの裾を押さえた私の様子に、ヤヨイの頬に悪戯っぽい笑みが浮かぶ。
「・・ウ・・ソ・・。」
くつくつと笑うヤヨイの笑顔は、憑き物が落ちたかのように普段と変わらない。
最寄りのトイレを探しながら、私の隣で屈託なく微笑むヤヨイの中に潜む闇・・。
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