ついに映画はその物語を終え、登場人物のモノローグに至る。
モノローグの中、画面はラストシーンからスタッフの名が並ぶエンドロールに切り替わり、エンドテーマが静かに流れ始めた。
と言ってもヤヨイを見つめることしか出来なかった私には、そして自慰に没頭していた彼女にも、映画の内容はまるで把握出来ていなかったのだけれど。
くちゅ、クチュくちゅ、くチュくちゅクチゅ・・
不意に挿入した指を激しく動かし始めたヤヨイ。
絶頂が近いのだ。
性行為の際、ヤヨイが見せる表情であれば、私は熟知していたと言っても過言ではない。
膣に挿入したままの右手の中指は粘りのある愛液で糸を引き、親指の付け根で陰核を圧迫し続ける。
それでも声を出すまいという嗜みなのだろうか、左手で唇を覆うヤヨイ。
んっ、んぁっ、んんんっ・・・
座席の上で躯を反らせ、真っ直ぐ伸ばした両脚の先端では、全ての指が鉤爪のように曲げられている。
ついに果てたヤヨイは、その余韻を味わうかのように、二度、三度と全身を震わせると、その躯からグッタリと力が抜けていく。
慌てたのは私だ。
既に場内の照明が点灯され、前方の席に背を向けて座っていた数人の観客は帰り支度を初めており、数十秒もすれば、私達を視野に収めることが可能な位置を通り過ぎることになる。
一方でヤヨイは、グッタリとシートに背をもたせ、はだけたワンピースからは、大胆に素肌を曝け出している。
半裸と言っても過言ではなく、まさか自慰に耽っていたとは思われまいが、尋常の状態にないことは明らかだ。
取り敢えず私は、はだけたワンピースのボタンを留め、ヤヨイの素肌が他人目に晒されないようにする。
通り過ぎていく人々と視線を合わさないようにしながら、何とかヤヨイの下腹部までを隠し切った私は、滝のような汗をかいていた。
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