指定された日。
その日は土曜日であった。
両親には友人と出掛けると称して家を出た私は、夏の略式制服、、ブラウスの代わりに無地の白いポロシャツが認められていた、、を身に付けて隣の市にある指定された場所に向かう。
駅から少し歩いた指定場所に近づいた私は、少し離れた物陰から様子を伺うが、付近に人影は見当たらない。
致し方ない。
時間ピッタリに私は指定された場所に移動した。
と、見覚えのあるワゴン車が近づいてきたことに気付いた私は、身体が強張り全身から滝のような汗が噴き出す。
スピードを緩め、私の前に停車したワゴン車から、先日とはまた別の少女が降り立った。
「・・乗って・・。」
良い印象なぞ持てる筈の無いワゴン車に乗せられるのは、全くもって気が進まなかったが、致し方なく私は促されるままに後部座席に座る。
走り出したワゴン車の後部座席には、私と例の少女が無言で座り、運転をしている若い男は喋ることもなければ、振り返りすらしない。
同じような風景の中を、一時間も走った頃だろうか。
ワゴン車から降りた私と少女だけが、何処へともなく歩き始めた。
もちろん先導するのは少女であり、私はついていくことしか出来ない。
少女が立ち止まったのは、何の変哲もないマンションであった。
テンキーを操作してオートロックを解除、そのまま視線で私を促しつつ、少女はエントランスでエレベーターを待つ。
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