まぶたを開くよりも先に、鈍器で殴られるような頭痛を感じた。
目を開くと家のベットの上だった。
帰宅した記憶はない。
けれど一応はきちんと帰ってきている自分を心の中で褒めた。
喉の痛みを感じて、水を飲もうと起き上がった。
部屋を出ながら、そういえば吐いたような気がすると思い、記憶をたどった。
路地で・・・電柱で・・・自動販売機の裏で・・・・?
いや その全部で吐いたんだろうと思った。
キッチンの時計は12時をまわっていた。
おそらく妻は帰っているだろう。
いつものように私とは別の寝室で、疲れ果て泥のように寝ているだろう。
いつもと同じならば、起きてくるまでにあと2時間はあるだろうか。
そっとしておくかと、自分こそ体力が残っていないくせに思った。
自分の寝室に戻り、けれど寝っころがると吐きそうで、ベットに座って息を吐いた。
頭の中は、昨夜の記憶を探していた。
好色なオヤジ・・・・シモダの語った1時間ほどの猥談の内容。
私は妻の寝ている家で、妻がいる部屋とは扉だけしか隔てていない空間で、女の話を思い出そうとしつづけていた。
今ごろ15人目・・・いや、もっと大勢の男をくわえとるよ
ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ
シモダは呆けて固まる私に、自慢のような実況を投げつけ続けていた。
私が何も言わないせいで おそらくそれは他人から見れば大きな声の独り言にも見えたと思う。
ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ
そうじゃあんたも好きなんやから こんどあんたも楽しむか?
どぎつい欲に引くかも知れんが 口も中も 具合はいいぞぉ
ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ
少しタイミングを外したあとに 私は「えぇぇ!?」と間の抜けた返事をした
「あぁ」「はぁ」以外の言葉を久しぶりに出した
何度か それを繰り返した後、こいつ大丈夫か?という右の眉毛を吊り上げた表情のシモダの
最後の「お前もつかうか?」の問いに、ようやく「はい はい」と呆けて答えた
今日の場所は秘密の場所じゃ
けどこんどは別の場所でやるんよ
そこなら誰でもいいけん あんたも来てみて楽しんでみぃ
ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ
そう言いながらシモダは会計をし「そろそろ戻らんと」と店を出て行った。
あれは本当なのだろうか・・・。
私はそうゆう女を前に きちんとできるんだろうか?
本気で私を誘ったのだろうか・・・。
頭痛の合間に いろいろと揺れた。
※元投稿はこちら >>