警察の事情聴取は三十分ほどで終わった。 弓子は老人が暴力にさらされている所を目 撃し救済に入ったことや、 ことの顛末をかいつまんで警察官に説明して聞かせた。
しかし、警察官が駆けつけた時には少年は勿論、 あの蓮華と呼ばれた女性の姿もすでになかった。 幸い老人は運び込まれた病院からの連絡で軽症ということであった。 弓子と遥は再び自宅への帰路についた。 駅から自宅までは徒歩で十分ちょいの距離 である。
弓子はタクシーを使うことも考えたが、日 頃から健康には歩くほうが良いと考えているため徒歩を選択した。
それにまだ深夜という時間ではない。
弓子たちの自宅は都会のベットタウンとな ったこの街の中でも比較的新しい新興住宅街の中にあった。 駅から近いせいか地価が高く、ミド ルクラス以上の 家庭が大半を占めている。
二人は自宅まて後二分ほどの位置に差し掛 かっていた。 この児童向けに作られた公園の中を横切る のが最も 近く、ここを抜ければもう自宅は目前であ る。 弓子と遥の胸には微かな疲労感と安堵、そして温かいバスへの欲求が 湧き上がっていた。
しかし、その幸福は次の瞬間に突然暗転する。
それは、二人が公園の半ば、滑り台の横を通り抜けようとした時であった。
トイレの側面から複数の黒い影が飛び出し、背後から母と娘に襲いかかったのだ。 娘に最初に飛びかかったのはあのピアス少年である、口を手で塞ぎ、 背後脇から入れた手で羽交い絞めにしながら、トイレの方へ引きずりたてる。 遥はヒッと喉を鳴らしただけで悲鳴を上 げることさえ出来なかった。
弓子を後ろから急襲したのはあの小太りで あった。
軽く突き飛ばしておいて、 すぐさま、プロレスのヘッドロックにとる
そこにあの時はいなかったもう一人の少年 が後ろから走り寄り、 腰に手を入れて婦人の身体を浮遊させ、ピアスの後を追う。
トイレの中まで母と娘を引き立てるとハン カチで猿轡をし、玩具の手錠を後ろ手にかけた。 そのトイレは今年に入って新築され、設備 と清掃は公園のトイレとは 思えぬほどいきとどいている。 トイレの中には少年たちが母と娘をここに 連れこむのを待っていた人間がいた。
それは先ほど駅前で目の前の少年たちをあれほど畏怖させた蓮華という 女性であった。 「ようこそ、お待ちしておりましたわ」 婦人は身体をばたつかせながら、助けを求 める悲鳴を懸命に絞りだそうと したが、モゴモゴと口ごもって声にはなら なかった。 静寂の闇の中で野犬の嘶きだけが木霊していた。
「浣腸をぶち込んでやるぜ!」 「ヒッ、ヒイーッ!」 ピアスが歓喜の叫びを上げた瞬間、 十八歳の娘はグリセリンを注ぎこまれる衝 撃に喉を引き絞った。 二個目のイチジクをピアスから変わった小太りが、雫をしたたらせるすみれ色の肛門に注ぎ込む。 容器を抜き取ると早くも便意が、じわりじ わりと確実な形となり 膨らみ始めていた。 浣腸の経験などまったくない健康的な娘 だけに効果の方は絶大であった。
強くなる排泄の欲求が女子大生の胸をドス黒く染めていく。 腸にグリセリンが浸透し、蠕動運動をおこ して荒れ狂い容赦なく便意が衝きあがる
遥は後ろ手に立たされたまま、しどろな黒髪を振り、 涙でアイメイクの滲んだ美貌を反り返えらせる。
白いブラウスの谷間から揺れる形の良い乳房があらわになり、 腰上まで捲られたスカートの下で白い太腿 と臀が 若い娘特有の耀きを放つ。
リボンとレースをあしらったショーツが膝上 まで降ろされ、 黒い翳りが曝され、クレバスの亀裂さえも目に捉えることができた。
「おねがいッ! やめてええっ!!」 弓子はもう一人の少年に背後から抱えられ たまま眦を吊り上げ、身体を捩り脚をばたつかせながら声にならない叫びを噴き上げる。
「そんなことしてどこが面白いの‥‥‥娘 はまだ大学生なのよ、ひどいことはやめて ッ!」 嗚咽しながら弓子は哀訴した。
じっと様子を見ていた能面のような 女が振りかえると、表情ひとつ変えずに弓子に向かって語りかけた。
「奥様。意外に世間知らずでござられますわね。 あなたは何が面白いのかと言われましたが 、世の中には 奥様や娘さんのような知性豊かで美しい方 が苛まれ、堕ちていくこところを見ること を 悦びとしている人間もいるのでこざいます 。 もちろん、わたしもそのひとりではあるのですけど。 この少年たちは貴方に咎められた復讐では ありませんよ。 しいて言えば私の楽しみ。これをごらんになって」 能面の女は肩から傍らにかけていた、黒い バックの側面を婦人の顔に近づけた。 弓子が目を凝らすと丸い穴が開けられ、何かガラスのようなものが覗いているのが見 えた。
「ビデオカメラですのよ、いままでのところは余すとこなくこれに‥‥‥」 婦人は恐ろしいものでもみたように目をカ ッと見開き悲鳴を噴き上げた。
「これからがマニアが一番見たいところなの‥‥‥ユウヤ、奥様に教えてあげて」 後ろで拘束する男が弓子の耳元で、周りには断片的にしか聞こえぬ音量で囁いた。
踵を返した女の背後で母親の悲鳴が迸った 。
猿轡をはずされた遥の便意はすでに限界 に達しようとしていた。 蒼白な貌を便意に引き攣らせながら、 粟立つ肌を熱病にかかったように震わせる。 「おねがい‥‥‥おトイレにいかせて‥‥‥」 すすり泣きながら哀願する娘を、ビデオを 小太りに渡した能面の女が覗き込む。
「お嬢さん‥‥‥おトイレならそこにあるわ よ 。おトイレで何をするの?」 若く美しい娘のプライドを徹底的に 崩壊させようとする恐ろしい意図が女の言葉からは浮かびあがる
「そら、何がしたいのかいってごらんなさ い」 時間が責め苦になる、能面の女は決して焦 らない。
遥はいやいやするように力なく頭を振る 。
「言いたくなければ言わなくていいのよ、 ここでこの男の子たちの前でしてもらうか ら」 恐ろしい言葉に絶望の呻きが遥の喉から 噴きあがった。 あと一度激しい排泄感に衝きあげられたら 我慢できるかどうかわからない。 遥の忍耐力は限界に近づいていた。 「いいのよ、男の子たちはあなたがどんな 風にするのか見たいんだから」
美しい女子大学生はとうとう屈伏した。
「い‥‥‥言います、お、おトイレで‥‥‥」
「おトイレで何なの、ぐずぐずしてると間 に合わなくなるわよ、はっきり言いなさい !」 女は最後の一押しとばかりに恫喝した。 「ウ‥‥‥ウンチです‥‥‥ウンチがしたいん です!」 屈辱に遥はどっと泣き声のソプラノを爆ぜさせた。
「ウンチだって‥‥‥チだぜ。
普通はウンコだよな?」
「クソだろ、普通は!ウンチだと臭いが上品なのかな?」
「それはねえと思う。
やっぱり、ウンチでも臭いはダメでしょ!」
小太りとピアスがからかい、
哄笑がどっと沸き上がった。
能面の女はスカートとショーツを泣きじゃくる女子大生の足先から抜き取ると、 個室の前の一番開けた空間に追い立てた。
「お嬢さんの家は、もちろん違うだろうけど 、今日はオープン形式の和式でお願い するわね‥‥‥タカユキ、トイレをここに」ピアス が病院で使う携帯用のトイレを鞄の 中から取り出す。
「さあ、お嬢さん。ここに屈んで和式で用をたす時の 恰好をするのよ」
「いやああっ!」 「ひ、ひどい‥‥‥約束がちがいます‥‥‥お願いひとりで‥‥‥おトイレでひとりでさせてえ!!」
遥の嗚咽を含んだ言葉とともに、 後ろから猿轡にくぐもった弓子の叫びが虚 しく響いた。
ピアスが遥の肩を下方に押し、小太りが膝裏を叩いて 身体を沈めさせる。
すかさず能面の女が尻の下に簡易用トイレ を 差し込んだ。
ピアスと小太りは傍らに距離を取ったが、もはや遥には横のトイレに向かってにじり 寄る力は無かった。
「その小さな便器で足りるかしらね‥‥‥お 嬢さん」 能面の女は美しい娘を嘲弄する手を最後まで弛めない。
「もうすぐお嬢さんヒリだすわよ」 女の声が鼓膜に響いた瞬間、便意が強烈に 突きあがり、閉じた瞼の裏に閃光が走った 。
「いやあ、見ないでえ!‥‥‥いやあああ !!」 喉を掻き毟るような叫びとともに便器を叩く排泄音が響いた。 女子大生は支離滅裂に喚きちらしながらはらわたが捩れるような号泣を噴き上げている。
完全なプライドの崩壊と重なるように、若い娘の健康的な大便の匂いが微かに便器の 底から漂い始めていた。
「やったぜ!この臭いは
やっぱり一緒だぜ!!」
「クソじゃんか!ざまあッ!」
小太りとピアスが拳を握って
、快哉を叫んだ。
ピアスが後ろから弥生の髪をどうだとばかりに引き絞り泣き咽ぶ貌を曝しあげた。
「可愛いお嬢さんもウンチは一緒ね」 カメラを覗く能面の女の口端に初めて微かな笑みが浮かんでいた。
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